◆まとめ 人生で持っていけるのは、財産や人ではなく、 自らの行動・言葉・思考の業(カルマ)のみ。 すべては無常であり、 執着せず「今、この瞬間」に 心を専念させることが大切。 原因と結果の法則を意識し、 善行を積むことで幸福を得られ、 自分の心を浄化するのは自分自身の責任である。 ◆死ぬ時に持っていける唯一のもの 食べるものもお金も貴金属も、 いかなる所有物であっても、 君が死ぬときには持っていけない。 君の召使いも、従業員も、 君のとりまきで君の影響下にある人々も、 君が死ぬときは、 誰ひとり連れていけない。 死ぬ時はすべてを失う。 死ぬ時に唯一この手に残るのは、 君がこの人生で行動してきた体の業(カルマ)と 話してきた言葉の業と 心の中で考えてきた思考の業、 たったそれだけ。 君はその報いだけを受け取り、 旅立ってゆく。 あたかも影が人につきまとうがごとく、 業は君を追いかけてゆく。 ゆえに、思考・言葉・身体を整えて、 未来に備えて善行を積むように。 善行は、未来の君にとっての、 ただ一つの財産となる。 ◆諸行無常 諸行無常、すなわち世の全てはすぐに移ろいでゆく。 これも過ぎ去る、 あれもまた過ぎ去る、 それもまた過ぎ去る。 物質と心を司るすべてのエネルギーは、 微細なレベルで観察するなら、 一瞬たりとも安定することなく、 崩壊しては新しく生成する。 これを猛烈なスピードで繰り返し、ぐらついている。 どこにもしがみつくことなどできはしない。 これを座禅瞑想により、 腹の底から衝撃とともに体験するなら、 君は苦しみから離れ、 君の心は清まり安らぐだろう。 ◆「今、この瞬間」に心を専念させる 過去を思い出して悲しむことなく、 未来を空想してぼんやりもせず、 ただ、「この瞬間」へと心が専念していれば、 君の顔色は活き活きとして、 ぱっと晴れやかになる。 もしも君が心をうっかりさせて、 「去年の夏は楽しかったのになあ」とか、 「来週はあの人に会えるかな」とか、 過去や未来という非現実に心を溺れさせるなら、 やがて心も体もグッタリしてくる。 まるで刈り取られたあとにしなび始める草みたいに。 ◆原因と結果の法則を意識する 心も原因と結果の法則性を意識し、 苦しい結果をもたらす原因となるネガティブな 思考から離れて行動する。 そうして、 心地よい結果を受け取ること。 これが最高の幸福。 自分の言っていることは誰からも 非難される筋合いはないと胸を張って言えるほどに、 何もごまかさずに行動できていること。 これが最高の幸福。 ◆自業自得 自分というバケモノは、 自分自身が心の中で思い描いた欲望・怒り・迷いの 思考によって、 少しずつけがされていく。 「自分」というバケモノは、 心の中で欲望・怒り・迷いの思考を 思い描かないことによって、 少しずつきれいになってゆく。 こうやってけがれるものもきれいになるのも、 すべては各自、一人ひとりの自業自得。 他人が他人の心をきれいにすることなど できやしないのだから、 余計な口出しはしないこと。