Liberal Arts {Article552}

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英会話・ぜったい・音読 【國弘 正雄, 千田 潤一】



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◆まとめ

・英語習得の鍵:音読と反復

英語を身につけるには、
脳に基礎回路を構築することが重要であり、
その最も効果的な方法が「音読」である。

音読によってヴェルニッケ中枢(言語理解)
とブローカー中枢(言語発話)を連携させ、
知的記憶を動作記憶に変換することで、
英語が自然に使えるようになる。

・科学的研究でも証明された音読の効果

川島隆太教授の研究によれば、
音読は黙読や複雑な計算よりも
脳を活性化する。

さらに、手書きを組み合わせると
記憶定着が促進される。

音読と筆写を繰り返すことで、
英語の吸収力が格段に向上する。

・「騙されたと思ってやってみる」

ひたすら音読を続けることで、
英語が聞こえる・話せるようになる
瞬間が訪れる。

英語回路ができれば、
英字新聞や英語放送がスムーズに
理解できるようになり、
学習の効果が加速する。

継続こそが英語習得の王道である。

◆騙されたと思ってやってみること

「騙されたと思って、とにかくやってみる。」

このシンプルな実践こそが、
英語習得への近道である。

継続して音読を続けることで、
ある日気づくはず——

✅ 英語が聞き取れるようになっている
✅ 英語が自然に口から出るようになっている

そうなったとき、
あなたの身体にはすでに英語の
基礎回路が完成している。

その状態になれば、

🎧 英語放送を聞く
📰 英字新聞を読む
🏫 英会話学校に通う

といった学習が、
以前よりはるかに
効果的になっていることに気づくだろう。

そして、自分の成長に驚くはずだ。

「ひたすら声を出して読む」
というシンプルな方法こそ、
言語学習の王道であり、
外国語習得の最短ルートである。

騙されたと思って、
まずは試してみてほしい。
実行すれば、
あなたもきっとそう思うはずだ。

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◆大切なのは反復、そして回路作り

「何回音読すればいい?」
「何回書き写せばいい?」

こうした疑問は当然のように生じる。

しかし、1回やれば1回分の効果、
100回やれば100回分の効果がある。

つまり、やればやるほど効果が上がる
というシンプルな法則が成り立つ。

・音読の継続が鍵

特に音読は、
いつでもどこでもでき、
お金もほとんどかからない。

そのため、
ひたすら読むことが効果的だが、
単調な作業ゆえに飽きやすい。

その対策として:

1. 一つの教材を1〜2ヶ月間
じっくり取り込む

2. 効果が実感できたら、
新しい教材でフレッシュな気持ちで挑戦する

これを繰り返すことで、
より高い効果を得ることができる。

・音読の目的は暗記ではない

音読の目的は「暗記すること」ではない。

何度も繰り返すことで、
英語の回路を脳内に構築し、
動作記憶として使えるように
することが本質である。

もちろん、
結果として暗記できれば、
それに越したことはないが、
暗記そのものは目的ではない。

大切なのは
「繰り返し」=反復し続けること。

これが、英語を「使える力」として
身につけるための最も確実な方法である。

◆手で書いてみる

英文を書き写すことは、
極めて効果的な学習方法の一つである。

これは、身体を使い、
脳の複数の中枢を活性化させることで、
英語を確実に定着させるためだ。

目で見た文章を手で書き写すうちに、
知的記憶(Intellectual Memory)から
動作記憶(Motion Memory)へと変換され、
英語が自分のものになっていく。

さらに、
音読や筆写を組み合わせることで、
知識がより深く内在化される。

このプロセスを繰り返すことで、
脳内に英語を理解するための回路が
徐々に形成されていく。

◆声に出して読んでみる

音読のための教材は、
極端に言えば何でもよい。

しかし、
より効果的に行うためには、
ある程度まとまった意味を持つ
文章を選ぶことが望ましい。

細切れのフレーズや、
「Hi, how are you?」
「Fine, thanks.」
といった短い会話文は
音読の目的に適さない。

音読の本来の目的は、
内容(意味)と音声を
一体化させることである。

そのため、
文章の意味をまず理解してから
音読することが重要となる。

黙読によって
内容を理解できる文章だからこそ、
目から入った知識が
音読によって脳内で活性化される。

・日常英会話の語彙数
ある調査によると、
専門用語を除けば、
英語の日常会話は約1000語ほどで
成立するという。

これは、
日本の中学3年生までに
学習する語彙にほぼ相当する。

「中学3年レベルの英語は
簡単すぎるのでは?」
と思うかもしれない。

しかし、
そのレベルの英語を
本当に使いこなせる人は
どれくらいいるだろうか?

知的記憶として「理解はできる」が、
実際に「使えない」人が大半ではないだろうか。

・動作記憶として定着させる

この中学レベルの英語を
動作記憶として
定着させることが重要である。

それができれば、
日常会話をスムーズに
こなせるだけでなく、
英語学習の基礎回路が形成される。

基礎回路ができれば、
新しい英語の習得スピードも上がり、
実際の場面で即座に使える力が身につく。

◆知的記憶と動作記憶

本当の英語を確実に身につけるためには、
できるだけ多くの感覚機能を
動員することが重要である。

言語の習得には
二つの記憶タイプが関与する。

1. 知的記憶(Intellectual Memory)

これは、見たり読んだりすることで
記憶する受動的な学習のことを指す。

単語や文法のルールを頭で
理解するのがこのタイプにあたる。

2. 動作記憶(Motion Memory)

一方で、身体を使いながら記憶することで、
大脳内に確実な回路を形成する記憶のことを指す。

感覚機能をフル活用し、
脳と身体を連携させることで、
知識が実際のスキルとして使えるようになる。

・知的記憶を動作記憶に変える方法

英語を「知っている」だけではなく、
「使える」状態にするためには、
知的記憶を動作記憶に
変換することが必要である。

どんなに多くの単語や文法を
知っていても、
それが使えなければ意味がない。

語彙力や文法力を動作記憶に
変える唯一の方法は
「身体で覚える」こと。

そのために最も効果的な手法が 
「音読」 である。

・音読の重要性

音読は、
目で見たものを口で発し、
耳で聞き、それを脳で処理するという
一連の動作を伴うため、
単なる知的記憶を動作記憶に
変換する強力なトレーニングとなる。

「英語を本当に使えるようになるには、
ただ覚えるのではなく、
身体で覚えることが重要。」

◆科学的に証明された経験論

東北大学未来科学技術
共同研究センターの川島隆太教授は、
長年にわたり
「脳がどのような刺激を受けたときに
最も活性化するのか」を
医療用診断装置などを
用いて研究してきた。

その結果、
脳が最も活性化する行動として
以下の二つを発見した。

1. 音読と単純な計算

・複雑な数式を解くよりも、
単純な計算のほうが脳が活性化する。

・黙読しているときよりも、
音読しているときのほうが
脳がより活性化する。

2. 音読に手書きを組み合わせると、
さらに脳が刺激を受ける

・手で書きながら音読すると、
脳の活性化がさらに高まる。

川島教授はこうも述べている。

「これまで15年以上の
機能イメージ研究を続けてきたが、
音読ほど脳のあらゆる領域を
活性化する行動を私は知らない。

音読は、
おそらく人間の脳を最も
活性化する行為なのではないか。」

音読の科学的効果

音読は単なる発声ではなく、
脳全体を使った全身運動であることが、
科学的計測により明らかになっている。

◆英語回路を構築する
英語を身につけようとする際に、
まず重要なのは大脳内に
英語を理解するための基礎回路を
構築することである。

基礎回路ができていない段階で、
新しい知識をいくら吸収しようとしても、
定着しにくい。

単語や構文を頭で覚えたとしても、
実際の場面では使えないことが多い。

この基礎回路を
身につける最も簡単で効果的な方法が
音読である。

目で見たものを口から発することで、
ヴェルニッケ中枢と
言語動作領野(ブローカー中枢)間の
相互作用を活性化させる。

さらに、音読によって身体の感覚を利用し、
運動記憶を刺激することで、
言語を自分の身体の中に取り込み(内在化)、
自然に使えるようになる。

一度内在化された言語能力は、
自分の肉体の一部となり、
広範囲に応用できる力を発揮する。

こうして基礎回路ができると、
新しい知識がスポンジが
水を吸うようにどんどん身についていく。

◆人が言葉を理解するプロセス

人の言語は、
大脳の特定のプロセスを経て
初めて理解される。

日常的に使っている母語であっても、
インプットされた言語刺激は大脳で処理され、
蓄積される。

この処理を担うのが、
大脳内にある言語中枢であり、
二つの領域に分かれている。

1. ヴェルニッケ中枢(言語理解領野)

この領域は言語を
受け身的に理解する役割を持ち、
発見者の名前をとって
ヴェルニッケ中枢と呼ばれる。

他者が話した言葉はここに入り、
意味が理解される。

2. ブローカー中枢(言語動作領野)

ヴェルニッケ中枢のそばには、
言語を能動的に使うことを担当する
ブローカー中枢がある。

ここでは、喉や唇、舌などを動かして
言葉を発するための指令が行われる。

この二つの領域は隣り合わせになっており、
相互に作用しながら
言語の理解と発話を支えている。