ミルによると、 社会全体の幸福を実現するには、 国家による干渉は ゼロというわけにはいかない。 しかし、それが行き過ぎると 自由が損なわれてしまう。 そこで彼は、 国家による正当な干渉の 一般的基準を提示した。 それが危害原理=自由原理。 まずミルは、個人は、 自分の行動が自分以外の誰の利害にも 関係しないかぎり、 社会にたいして責任を負わないという。 そして次に、 他者の利益を損なう行動をとったら、 社会に対して責任を負い、 制裁を受ける。 簡単にいうと、 人に迷惑を掛けないかぎり、 何をしても自由ということ。 ここからミルは、 自由な生き方の選択が認められるべきだ という議論を展開する。 つまり、 個人の創造性を発展させよと。 彼は人間を1本の樹木にたとえることで、 機械とは違って自ら成長、 発展していく存在であると論じている。 結局、ミルが理想とした社会は、 誰もが自由を謳歌し、 個性を発揮できるような社会、 国家なのだ。 だから個性をおしつぶそうとする 凡庸な習慣の専制を恐れた。 それは自由の精神を だめにしてしまうと。