マルクスは、人間の思想や法、 政治の制度などといった「上部構造」は、 生産手段や生産活動といった 「下部構造」によって決まってくると考える。 つまり経済活動が土台となって それによってすべての社会制度の 中身が決まってくる。 そして、 生産力が生産性の向上によって 生産関係にそぐわなくなったとき、 その矛盾を原動力として、 歴史は次の段階へと進展する。 具体的には、 原始共産制、奴隷制、封建制、 資本主義、社会主義、共産主義と 展開していく。 矛盾にあふれた資本主義は 革命によって壊され、 生産力に応じた社会へと 移行していかざるを得ない。 つまり次にくるのは、 能力に応じて働き、 働きに応じて分配するという社会主義、 さらにその次には、 能力に応じて働き、 必要に応じて分配を受けるという 共産主義にほかならない、 とマルクスはいう。 このマルクスの描く理想は、 旧ソ連を中心に20世紀に 世界規模で実現されかけた。 ところが、建設された社会主義国家は、 次々と疲弊し、腐敗し、崩れ去った。 今現在、社会主義を掲げる国家は 北朝鮮のような極端な独裁国家となるか、 中国のように巨大な格差をはらむ 社会主義の仮面をかぶった 資本主義国家となってしまった。 私たち自身資本主義社会を生きながらも、 常にその矛盾に抗おうとしている。