◆70代ともなれば、 早期発見、早期治療にほとんど意味はない。 早期発見であれば、 自覚症状がある人はほとんどいない。 そのままがんが発見されなければ、 4~5年くらいは自覚症状のない状態が続き、 これまでの元気さが保てる。 それなのに健診で発見されたばっかりに、 手術をやって一気に身体が弱ってしまい、 他の病気になったり、 寝たきり状態になって 寿命を縮めてしまうなどということはよくある。 まさに、「知らぬが仏」で、 がんであるなどということは 知らないほうが高齢者にとってはいい。 ◆70代のための「がん」とのつき合い方 70代になると、がんを患う人も増える。 重要なポイントとなってくるのは、 がんが見つかったときに、 手術するかどうかという点。 50代以下なら手術してもよいし、 60代でもグレーゾーン、 まだ、大丈夫かも知れない。 ただし、70代以上の人であれば、 手術はしないほうがいいと考える。 70代の人が、 がんで手術をすれば、 確実に体力は落ちて老け込む。 よぼよぼになっても一年でも長く生きるか、 数年早く死んだとしても、 元気な状態を長く持続して生きるか、 どちらをとるかという決断を迫られる。 個人的には、 70代になったら、 手術はしないほうがいいと考える。 70代でがんが見つかったとしたら、 手術しても、しなくても大差はなく、 むしろしないほうが元気に長生きできる 可能性が高いと考える。 ◆日本には、 長生きを専門とする医師はいない。 人間の身体全体を見て、 どうすることが身体によくて、 どうすれば身体に悪いのか 言ってくれる医師はほとんどいない。 医師に何か言われても、 ただうなずくのではなく、 自分で考える習慣をつける。 はたしてこの指示に従って、 自分は長生きができるのか、 自分が望むような晩年を生きられるのかと考える。 ◆健診より心臓ドック、脳ドックを受ける 健診に対する「信仰」は強いものがあるが、 実際、健康診断は、長寿のためには ほとんど役に立たないのが現実。 健診結果を盲信して数値改善に取り込むことは、 健康になるどころか、 その人をどんどん「元気のない老人」 にしてしまう。 ◆高齢になったら、 一生懸命、勉強するよりも、 これまでの知識や経験を自分なりの意見に 加工してアウトプットすることを 意識的に行う。 ◆脳の老化を防ぐのは、 生活のなかの「変化」 前頭葉の老化を防ぐには、 「変化のある生活」をすることがいちばん。 前頭葉とは、 想定外のことに対処するとき、 活性化する部位である。 逆にいえば、 毎日、単調な生活を繰り返していると、 前頭葉は活性化せず、 衰えてしまう。 ◆肉を食べる習慣が 「老い」を遠ざける。 高齢になると、 肉を控えた野菜中心の食事が身体にいいと 考えている人が多いが、 それは間違っている。 セロトニンの材料となるのがトリプトファン というアミノ酸。 それが多く含まれているのが肉。 肉を積極的にとることで、 セロトニンの生成が促進され、 意欲低下の抑止に働く。 セロトニンは、 光りを浴びるとたくさんつくられる。 1日1度は部屋の外に出て、 陽の光を浴びる。 いちばん手軽な方法は、散歩。 ◆働くことは、 老化防止の最高の薬。 寿命が延びて、90歳、100歳まで 生きるようなこれからの時代は、 歳をとったので「引退する」という考え方自体が、 老後生活のリスクになる。 引退などと考えず、 いつまでも現役であろうとすることが、 老化を遅らせて、 長い晩年を元気に過ごす秘訣。 ◆「意欲の低下」を防ぐには、 日々の生活のなかで、 前頭葉の機能と、 男性ホルモンを活性化させることが とても重要となる。 ◆「意欲の低下」こそが、 老化でいちばん怖い。 病気やケガをきっかけに老け込んでいく ということもあるが、 加齢とともに老け込んでいくというときは、 意欲の減退が要因となって一気に年老いていく。 ◆70代というのは、 意欲的に身体を動かしたり、 頭を使ったりしないと、 すぐに要介護になってしまうというリスクがある。 ◆高齢者にとっては、 脳機能、運動機能を維持するために、 「使い続ける」ということが重要となる。 ◆「人生100年時代」が目前に迫った私たちは、 今後は、「老い」を2つの時期に分けて 考えることが求められている。 それは70代の「老いと闘う時期」と、 80代以降の「老いを受け入れる時期」。 ◆気持ちが若く、 いろいろなことを続けている人は、 長い間若くいられる。 栄養状態の良し悪しが、 健康寿命でいられるかどうかを決める。 そして、 それ以上に重要なのは、 人々を長生きさせる医療と、 健康でいさせてくれる医療は違うということ。