◆学力の70~90%は、 子ども自身にはどうしようもないところで 決定されてしまっている。 にもかかわらず、 学校は子ども自身に向かって 「頑張りなさい」 というメッセージを発信し、 個人の力で何とかして学力を上げることが 強いられている。 これは、 科学的に見て、 極めて不条理な状況と言える。 ◆「教育する」という意味はラテン語の 「導き出す」に由来すると言われている。 底上げするというより、 元々備わっていた能力を引き出して、 増幅するというイメージ。 生まれつきの素養がある人は 教育によってぐんと伸びる、 その一方で、 素養がほとんどない人は あまり伸びないという、 残酷な事実を告げている。 ◆安定した社会関係を結ぶことができる 人間集団は平均150人程度である。 ところが現代では、 それをはるかに超える人数が つながるようになってきた。 ◆幸福な家庭はどこも似通っているが、 不幸な家庭はそれぞれに異なる。 アンナ・カレーニナ(トルストイ) ◆裕福な家庭はアクセスできる環境条件の 豊かさという点でほぼ均質なので、 相対的に遺伝のばらつきが目立ってくるが、 貧困な家庭ではそれぞれ異なった環境条件なので、 共有環境のばらつきが目立つ。 ◆人は幸福になるように デザインされているわけではないけれど、 現実には幸福を感じて生きている人も たくさんいる。 それは遺伝的才能を生かす道が この社会にひそんでいるから。 ◆遺伝の真実 ・才能には遺伝がかかわっている ・収入にも遺伝がかかわっている ・才能に気づき育てるには経験と教育が必要である ・しかしそれはいまの学校教育の中で必ずしも できるわけではない ・それは知能や学力には遺伝の影響が 大きいからである ・学校は遺伝的な能力の個人差を 顕在化させるところである ・でもこの世の中は学力がすべてではない ・学力とは異なる遺伝的才能を生かした人たちで この世界は成り立っている ・才能のないところで努力してもムダだ