◆利食い千人力 世の中で、 あの相場でもうけた、 この銘柄で大もうけしたとの話はよく聞く。 でも、財をなし、 最後までうまくいった話はない。 なぜか? それは、 人間の欲には際限がないからだ。 ◆「流れを知る」ことがコツ 財産を増やすとなると、 どれだけもうけるかである。 その場合、 数多く銘柄を当てるより、 一つでもよいから資金を効率的に運用する。 見方によっては、 あまり多くの銘柄を売り買いすると、 自然に注意が行き届かなくなり 危険も大きくなりがちだ。 十銘柄に投資して、九銘柄が成功、 あるいは十回やって、九回うまくいったとしても、 たった一銘柄、たった一回の失敗により、 全部のもうけを飛ばしてしまい、 逆に足を出すなんていうことも少なくない。 とどのつまり、 相場で成功する初歩的な、 そしてもっとも確実なコツは、 相場の大きな流れを知ることである。 それが、勝機をつかむことである。 下げから上げに変わる。 その時機に買って出れば、 あるいは逆に上げから下げに変わった時、 すかさず売って出れば、 どんな未熟な人であろうと、 資金が少なかろうと、 多少銘柄の選択を誤ったとしても、 もうけの大小は別にして、 必ず成功するといって間違いない。 ◆サヤトリを多角的にやるように、 金もうけも多角的にやればよい。 一つの勝負に熱をあげるあまり、 肝心なもうけをおろそかにしてしまうのは困る。 要はゆとりをもって、 眼をひろく、 頭はやわらかに、 というのが一番大事な心得である。 ◆もうける時には、 よく腹八分目とか、 頭と尻尾は人にやれ、 という戒めがある。 が、チャンスは徹底的に生かすべきだ。 ただし、相場に外れた時は早く降りるのがコツである。 「離はなれ」である。 よく、株で損をすると、 この株にやられたんだから、 同じ株でとり戻そうとする人がいる。 あるいは、 株の損は株のもうけで埋めようとする人も多い。 しかし、 それは失敗しやすい。 損の上のりである。 一つには、 心理的に負けてしまっているため、 冷静に判断が出来なくなっているためだ。 意地では成功するはずがない。 とりあえず休む。 「休む」、 この時が肝心である。 ◆相場の秘訣 「もうけた金には損がついて回る。 貯めた金には信用がつく」との信念を貫きとおす。 一夜成金、 一夜乞食と言われた相場の世界、 それは現在の株式相場における相場とは いささか趣が違う。