◆ニュースを避けよう 実のところニュースは、 あなたの世界観を歪めている。 ニュースは人々を、 政治家、エリート、人種差別主義者、 難民といったグループにくくりがちだ。 ニュースは往々にして、 「腐ったリンゴ」に焦点を絞る。 SNSについても同じことが言える。 少数の不良が遠くで叫んだヘイトスピーチが、 アルゴリズムによってFacebook(Meta),Twitterの フィードの上部にプッシュされる。 これらのデジタル・プラットフォームは、 私たちのネガティビティ・バイアスを利用して 儲けていて、 人々の行動が悪くなればなるほど、 利益が増える。 なぜなら、悪い行動は人々の注目を集めて、 クリック数を増やし、クリック数が多ければ多いほど、 広告費は上がるからだ。 このことがSNSを、 人間の最悪の性質を増幅するシステムに変えた。 神経学者は、 わたしたちのニュースとプッシュ通知に渇望する 一種の中毒だと指摘するが、 シリコンバレーはずっと前からそれに気づいていた。 Facebook(Meta)やGoogleのような企業の経営者は、 自分の子どもに対しては、 インターネットとSNSに費やす時間を、 厳しく制限している。 ◆他の人々が自らを愛するように、 あなたも自らを愛そう 私たちは人を区別する。 えこひいきするし、 身内や自分に似た人々のことをより気にかける。 それは恥ずかしいことではない。 それがわたしたちを人間にしているのだ。 それでも理解しなければならないのは、 他の人々、遠くの見知らぬ人々にも、 愛する家族がいることだ。 そして彼らもまた、 あらゆる点でわたしたちと同じ人間であることだ。 ◆もっとたくさん質問しよう 世界史上のほぼすべての哲学に共通する 黄金律(ゴールデンルール)は、 「自分がされたくないことを人にしてはいけない」 というものだ。 最近では、何十億人もの親がわが子に、 この黄金律を繰り返し教えている。 それには2つの形がある。 「自分がそうされたいと思うように 他の人に接しなさい」という積極的教えと、 「自分がされたくないことを他人にしてはいけない」 という消極的な教えである。 それでも、この黄金律では不十分である。 黄金律のバリエーションは「白金律(プラチナルール)」 と呼ばれる。 その本質は、 「自分がしてもらいたいと思うことを 他人にしてはいけない。 その人の好みが自分と同じと限らないからだ」。 ◆ウィン・ウィンのシナリオで考えよう 悲しいことに、 無数の企業、学校、その他の機関は、 誤った通説を土台として組織されている。 その通説とは、 人間は本質的に、 常に互いと競い合うようにできている、 というものだ。 実のところ、これは逆だ。 最善のシナリオは、 すべての人が勝者になるものだ。 ◆ 疑いを抱いた時には、最善を想定しよう 誰かの意図が疑わしく思えたら、 どうすればいいだろう。 最も現実的なのは、 善意を想定することだ。 つまり、「疑わしきは罰せず」である。 たいていの場合それでうまくいく。 なぜか? ほとんどの人は善意によって動いているからだ。 そして、誰かがあなたを欺こうとしている 数少ないケースでは、 あなたの非補助的行動が相手を変える可能性が高い。 しかし、それでも騙された場合は、 どう考えればよいか? 「常に警戒しなさい」と、 あなたは思うかもしれない。 そうではない。 時々は騙されるという事実を受け入れたほうが はるかに良い。 なぜか? それは、他人を信じるという人生の贅沢を 味わうための、 小さな代償だからだ。 もしあなたが一度も騙されたことがないのなら、 基本的に人を信じる気持ちが足りないのではないか、 と自問すべきだろう。 ◆人生の指針10カ条 1: 疑いを抱いた時には、最善を想定しよう 2: ウィン・ウィンのシナリオで考えよう 3: もっとたくさん質問しよう 4: 共感を抑え、思いやりの心育てよう 5: 他人を理解するよう努めよう。 たとえその人に同意できなくても 6: 他の人々が自らを愛するように、 あなたも自らを愛そう 7: ニュースを避けよう 8: ナチスを叩かない 9: クローゼットから出よう。善行を恥じてはならない 10: 現実主義になろう ◆自己啓発本が好きでなない 今の時代は、 自分の内面にばかり目を向け、 外に目を向けることが少なすぎる。 よりよい世界の構築は自分一人でではなく、 皆で始めるものであり、 今までとは異なる制度を創ることだ。 そのためには、 出世したり裕福になったりするための秘訣を 100学んでも、まったく無益だ。 人間の本性についての現実に即した見方は、 あなたが他者とどう関わるかに大きく影響する。