◆抜かず、抜かさず 本当の無敵とは剣を抜かず、 剣を抜かせないことだ。 そうすれば敵はいなくなる。 剣で相手を倒そうと思っている限り、 絶対に無敵にはならない。 なぜなら敵は数限りなくいるからだ。 ところが剣を抜かないのであれば、 ある意味、敵はいない。 抜かない、相手にも抜かせない というところまでいってしまえば 敵はいなくなる。 そこまでいったら本当に無敵だ。 ◆今の剣道と違って昔は命のやり取りだったから、 こちらが相手より劣っていると殺されてしまう。 だから未熟者は未熟なりに、 剣を抜く前に相手の実力を判断しなくてはならない。 ひとたび剣を抜いてしまえば 逃げるわけにはいかないからだ。 なぜ宮本武蔵が無敵だったのかというと、 それは単純な話であって、 負けると思った相手とは戦わなかったからである。 その反対に、こちらが圧倒的な力量を持っていると 相手にわかれば、 剣を抜かなくても勝てる。 剣を抜いてから 相手の力量がわかるというのは下の下である。 やってみなければわからないというのは、 本物の上級者か、 あまりにも低レベルであるかのどちらかである。 ◆どこまでも努力・精進を続ける 日本一になった、世界一になった、 そこまで行ったら この道をきわめたことになると思っていても、 いざそこに辿り着いてみたら 全然きわまっていなかった、 まだまだその先があったということがわかる。 それがわかることが重要なのだ。 だから、 「どこまでも努力・精進を続ける」ことが大切なのだ。 ◆この頃は長いこと付き合って 結婚したかと思ったら半年、 1年で別れてしまう夫婦がいるが、 付き合っている間は 互いにいいところしか見せないものだ。 ところが一緒に住んでみると、 そういうわけにはいかない。 いいところも悪いところもすべて 赤裸々せきららにしなければならない。 そこで初めてわかることもある。 ◆心と体が一体となって、 仕事をするなら仕事をする体になっていく、 剣術するなら剣術する体になっていく、 修行するなら修行する体になっていくことが大切。 それにはやはり3年ぐらいの時間がかかる。