◆松陰からの学び(その4) 終わりを意識する。 享楽にふけることで、一時的に忘れることはできる。 だがそれは静かに、着実に歩み寄ってくる。 もしくは予想を裏切り突然やってくる。 ひとりとして例外はなく、いつかは必ず対面する。 あろうことか、本人も知らないうちに。 死。 終わりを意識できるのは人間だけだ。 それでも懸命になって、 死のイメージから逃れようとする人は、 いつの間にか「人生はいつまでも続くもの」 だと思い込まされているのかもしれない。 人生は長いと思う人もいる。 人生は短いと思う人もいる。 だが本気で生きるということは、 「わずかな残り時間で何ができるか」 を必死で考えることによく似ている。 やり残している事を、臆せずにやればいい。 死を意識すれば、 人の「生」は否応なく正解を導き出すはずだから。 松陰は死罪だとわかっていながら、 迷うことなく海外へ密航しようと試みた。 死ぬまで出られないと分かっていながら、 牢獄の中で「人生とは何か」を学び、 人に教え続けた。 30年という短い一生の中で、 松陰が見つけた「死への決着」とは何だったのか。