フランスの哲学者(フーコー)は、 現代社会にひそむ「権力」について、 鋭く指摘する。 かつて中世では、 王様の権力が人々を支配していた。 その権力が姿を消した近代以降、 人々は自分自身がつくった「常識」 という権力で 自分たちを支配しているという。 現代人は目に見えない3つの権力に 縛られている。 1. 人間関係(空気を読む、共感する、 波風を立てないなどの協調性を重視) 2. 家族関係(いい大学に通う、 適齢期に結婚するなど"正しさ"の追求) 3. 世論/SNS(感動、幸せ、健全、 清潔感などのプラスイメージを称賛) 「自由」と思える現代社会でも、 SNSで何気なくつぶやいた一言が、 「常識外れだ」として炎上する。 インターネットが普及した 時代だからこそ、 多数派による少数派への干渉は、 頻繁に起こるようになった。 そして、 「常識外れだ」と非難した人々自身は、 自分たちが「権力」をふるまっているとは 思わない。 「常識」は、 「この世界の真理」に等しいものと とらえられているからだ。 しかし、 かつてのキリスト教において、 神の存在が確信されていたように、 現代の「常識」が一過性のものではない、 と誰が言えるだろうか。 いつか「常識」は覆される かもしれないのだ。