Liberal Arts {Article046}

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哲人に聞く:家族なのに理解できないのはなぜ?【ヘーゲル】


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ヘーゲルは、
「家族は感情で結ばれた共同体」と呼んだ。

愛情で結ばれた家族関係は、
利害で結びつく社会関係や、
楽しさで結びつく友人関係とは、
少し質が異なる。

幼い頃、
親子は感情的な絆でむすばれている。

しかし、
子どもの成長に従い、
親離れ・子離れしなければならなくなる。

ところが最近では、
親と成長した子どもが適切な距離感を
保つのが難しくなっている。

理由のひとつとして挙げられるのは、
世代間の価値観の食い違いだ。

子ども世代において、
親世代の持つ「家族道徳」という価値観が、
ほとんど消えてしまった。

「親孝行はするものだ」
「親の言うことには従うべきだ」

などの「~するものだ」という
価値観が姿を消し、
それまでふたをされていた
親子の対立が表面化し、
歯止めがきかなくなってしまった。

親が重視する、
個々の主体性が実現されない
「家族」の道徳と、
子どもが大切にする「個人」の自由を
共存させるためには、
それぞれのよさを併せ持つ、
新しい関係性をお互いに模索する必要がある。

旧来の道徳観を、
今さら子ども世代が納得することは難しい。

親子がひとりの人間として認め合い、
改めてそれぞれの生き方を肯定し合うことから
スタートするしか、
対立を解決する道はないのかもしれない。