モンテーニュは、 自らの人間観を明らかにしている。 それは「人間というものは、 驚くほど空虚な、多様な、 変動する存在だ」というもの。 人間はそのような存在であるがゆえに、 目標が必要だという。 彼はこのことを、 立ちふさがるもののない 風にたとえる。 つまり、 揺り動かされた魂も、 つかまりどころを与えてやらないと、 自分の中で迷って前後もわからなく なってしまうというもの。 だから、 魂にはいつも目標として 向かっていく対象を与えて やらなくてはならない。 人間は強い存在だから 目標を欲するのではなく、 むしろ弱い存在だからこそ 目標がないとだめなのだ。