パスカルは「パンセ」の冒頭で、 「幾何学的精神」と「繊細の精神」 の2つが必要だと主張している。 幾何学の精神というのは、 定義や原理によって物事を 客観的に分析する精神。 これに対して、 繊細の精神というのは、 直観によって全体を見渡す精神。 いわば幾何学の精神というのは 合理的に考える精神で、 繊細の精神というのは感情で とらえる精神だ。 人間は精神的に弱いものだ。 彼の残した数々の箴言は、 現代にも通じる人間の生き方や 悩みに大きなヒントを与えてくれる。 パンセという語自体、 実はフランス語で「考える」という 意味である。 そこには論理的思考だけではなく、 感情でとらえるという内容が含まれている ことに着目する必要がある。 そして実際に私たちが物事を考えるときも、 単に論理だけで頭でっかちにならずに、 むしろ感情もうまく使いながら総合的に とらえる。 そういう工夫が必要になる。