Liberal Arts {Article073}

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死の意味とは?【ハイデガー】


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人間の中には根本的な不安が
横たわっている。

それは誰もが持つ死に対する不安。

にもかかわらず、
ハイデガーは、この不安を
「先駆的決意性」という前向きな
気持ちへと転換しようとした。

簡単にいうと、
先駆的決意性とは、
死という人生の先にある可能性を
先回りして了解し、
受け入れるといった意味。

ハイデガーは、
現存在を時間の中で位置づけ、
「誕生と死」という2つの終わりに
はさまれた存在の有限性を自覚
させようとした。

これによって現存在は、
自分の死に直面して打ち砕かれながらも、
すでに投げ込まれている自分の
現状に立ち返り、
自らの固有の可能性に目を向けて、
瞬間的な決意へと強いられることになる。

つまり、
死へ向かう存在として、
代理不可能な固有の
生を生きることになる。

誰しも死を意識すれば、
本気で生きるようになるもの。

その本気になった姿こそが
本来の現存在なのだ。

このようにハイデガーは、
有限な生を意識するための契機として、
死を肯定的にとらえた。

これはハイデガーの時間に対する
概念にもよく表れている。

つまりハイデガーは、
死を意識することで先駆的決意性を生じ、
今この瞬間を意識するようになる。

これが本来的時間性。

それに対して、
将来を漠然としたものとしてとらえ、
現在という時間を無為に生きるだけの場合、
そこには非本来的時間性しか
見受けられない。

そこでは死は忘れ去られており、
ゆえに人はだらだらと時間を
過ごしてしまう。

したがって、
そんな通俗的時間概念を
乗り越えることを訴えた。