脱構築とはデリダの用語で、 一からつくり直すことを意味する。 近代においては、 予め正しいと思われる価値が 重視されてきた。 しかし、 既存の価値は正しくないうえに、 暴力的でさえある。 というのも、 論理的なものだけが 正しいという考えが 差異を排除してきたから。 そこでデリダは、 こうした哲学体系に 特有の態度を解体しようとする。 それが脱構築という概念。 構造物を解体し、 構築し直すという意味。 ここでのポイントは、 単に解体するだけでなく、 構築し直すという点。 人生も社会も、 行き詰まったら、 一度壊してしまいばいい。 そして一からやり直す。 勇気のいることだが、 試してみる価値はある。 現状の生き方や物事のあり方は、 一つの選択にすぎない。 そして一つの選択があるということは、 ほかにも複数の選択がありうる。 デリダはそう問いかけている。