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天風哲人の幸運をひらく言葉 [1]【中村天風】


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1. 人間の心の本質は
  「真善美」以外の何ものでもない

例えば、肉体の手と手を握り合ってみても、
握り合っている以上に、
幾ら密接させようとしても、
そういうわけにはいかない。

ところが、心と心は、
全くそうではなく、
愛し合えば愛し合う程、
どんなものでも密接に
二つが一つに融け合える点に、
愛の心というものの尊さがあるのである。

だから、何事に対しても、
いつでも愛の心で対応していさえすれば、
天地間の万物と期せずして融和が出来る。

これは言い換えると、
人間の心と宇宙の心と、
一つになれるということになるのである。

もっと判り易くいえば、
宇宙の心と一つに人間の心がなれれば、
ここに初めて宇宙の本体も
本質も明らかになってくる。

当然の帰結としてこの宇宙の心が
「真善美」以外の何ものでもなく、
そして同時に人間の心の本質もまた
「真善美」以外の何ものでもないことが
わかってくる。

2. 感情を統御し得るところに、
   人間の価値がある

どんな場合においても、
感情を乗り越えていったというところに、
人間の尊い生命の価値があるんだ。

「人間は感情の動物」なんていうような、
価値のない思想を重大視していた過去を
一切捨てよう。

人間というものは終始、
感情を乗り越えて感情を統御し得るところに、
本当の人間の価値がある。


3. 自分でしないで、待っているかぎり、
   来やしないよ

本当の幸福というのは、
人生がよりよく生きられる状態に
自分ですることなんだ。

自分でしないで、
ほかからしてくれることを
待っているかぎり、
来やしないよ。

4. 我が心に「憎しみはないか」と問うてみよう

静かに、我が心に
「心に憎しみはないか、怒りは、
  悲しみは、嫉みは、悶は‥‥」
と問うでみよう。

宇宙には因果律という法則が
厳として存在している。

だから、そういう心持ちでいる人は、
いつまで経っても本当の
安心立命は出来はしない。

5. 生きている間は楽しく生きていこう

私(中村天風)は肺病を治すために
医学を学んだが、
自分の病すら治せない。

なんというなさけない
人間だろうと思う自責の念と同時に、
肉体に感覚する病からの苦悩。

もう寝る間も忘れないほど苦しみましたよ。

なん年か苦しんだあげくに、
ひょいと自問自答してみた。

「待てよ、かりに非常に幸いな運命が
めぐってきて、
病が治ったとしても、
永久に死なないというわけにはいかない。
必ず時がくれば死ぬな」

「治っても死ぬ。
治らないでも死ぬだろう。
このまま治らなきゃ、
死ぬ時期が早いというだけで、
いずれは死ぬということに変わりはない」

「すると待てよ、
かりにいちばん考えやすく、
明日の朝、死ぬとしたら、
まだ今夜は死んじゃいない」

「では、どうせ明日の朝、死ぬんなら、
その死ぬときまで生きているんだから、
ビクビク生きているよりは、
生きている間は楽しく生きていこう
という気持ちになったほうが、
どうも得のようだがどうだ」

と、こういう心構えでやってみようと
思ったのが、
そもそもはじめです。

そういう気持ちになったときは、
そりゃもうずいぶん嬉しかったですよ。

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