◆2002年、e-BayがPayPalを15億ドルで 買収したことで、 PayPalの筆頭株主であるマスクは とんでもない資産を手にする。 マスクはその資産を、 スペースXに1億ドル、 テスラに7000万ドル、 太陽光発電のソーラーシティに 3000万ドルを投じた。 ◆テスラでマスクはクルマの 生産・販売方法自体に新風を吹き込み、 同時に世界的な燃料販売網を増強した。 他者が手掛けるハイブリット方式は マスクに言わせれば 「次善の妥協策」にすぎない。 テスラがめざしたのは、 誰もが欲しがっている 「100%の電気自動車」である。 ◆テスラの場合、 ほとんどの機能をソフトの アップデートという形で、 全オーナーに提供できる。 だから既存のモデルオーナーも満足できる。 テスラのオーナーにしてみれば、 電気100%のライフスタイルは面倒が少ない。 ガソリンスタンドに行かず、 夜中に自宅のコンセントから充電すればいい。 付属のソフトで充電のスケジュールを 組んでおけば、電力料金の安い深夜など、 指定した時刻から充電を開始することも 可能である。 テスラのオーナーはガソリンスタンドが 無縁になるばかりか、 自動車整備にわざわざ出かける必要も ほとんどなくなる。 従来ならオイル交換や トランスミッションオイル交換をしないと 可動部品の摩耗などにつながる。 ところが電気自動車は仕組みがシンプルなため、 この手の保守が不要になる。 ◆テスラが展開する充電ステーションは 「スーパーチャージャー」と呼ばれ、 米国や欧州、アジアの主要ハイウェイ沿いに 誕生している。 30分も充電すれば何百kmも走ることができる。 しかも、スーパーチャージャーは 太陽光発電装置によって運営されている。 だからテスラのオーナーは、 燃料補給に金を払う必要がない。 ちなみに、 充電時間を節約したいときは 有料でバッテリーパックを90秒で 交換することもできる。