Liberal Arts {Article218}

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遺伝の真実【3】



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◆自己責任論を声高に主張する人もいるが、
人の能力の半分は遺伝、
残り半分は非共有環境によって
形づくられている。

どんな遺伝子を持って生まれてくるか、
そしてどんな環境に出会うかも、
すべては「運」である。

個人の努力を超えた問題に関しては、
やはり社会保障の仕組みをつくって
対応することが不可欠。

例えば、
ベーシックインカムのような制度は
検討する必要がある。

◆絶対優位▶比較優位▶潜在優位

いまはまだ実現された絶対優位でも
比較優位でもなく、
ひょっとしたら取り組んでもいないけれど、
将来できそうだ、いつかやってみたい、
これをやらずに死にたくない、
その実現のために、
いまちょっとばかりの労力を
かける気持ちになれそうな、
そういう能力や知識や技能...
それが「潜在優位」である。

◆絶対優位 vs 比較優位

「得意」とは絶対優位のこと。

誰よりもよくできること、
日本一、世界一の水準に達しているようなこと。

誰と比較しても優位な能力を持っているのであれば、
それで世の中に貢献することができる。

しかしそんなものを持っている人は
ごくごく一部である。

絶対優位にある「得意」なことがないとき、
あなたの中で「好き」なことを選ぶ。

あなたがこれまで生きてきた経験から、
あなたのしてきたこと、できること、
しなければならないことのうち、
あなたの中で一番「好き」だと感じていること、
それが比較優位である。

それを絶対的な基準でもっとうまくこなす人はいる。

しかしそんなことにお構いなく、
比較優位の能力として
貢献することができる。

◆安定した関係を築ける
ダンバー数(100人から230人程度)を
はるかに超えた人々と、
私たちは日々つながり、
その中での自分の立ち位置を確かめては
優越感を感じたり、劣等感を感じたりしている。

全員がチャンピオンになれるわけがないし、
なる必要もないのに、
世界ランキングを見て一喜一憂している。

そしてどのランキングにも
自分は入れないと思わされてしまう。

しかし人間はもともともっと
ローカルなコミュニティで
自分を活かして生きるようにできている。

それはダンバー数(100人程度)に収まる
コミュニティである。

◆何をどうしても成績が悪いという
シグナルが出ているのであれば、
あなたにはその分野の才能がない、
あるいは適切な環境と出会っていないために
発現していない。

だから時間やお金といったリソースを
別のことに振り向けて
生存を図るべきではないか。

◆小学校から中学校あるいは高校までの9年間、
12年間かけて授業を受けても、
たいていの人はそれがほぼ
何の血肉にもなっていない。

それならば、
一生の間に自分に適したタイミングで、
学べるようにすればいい。

「それでいい」という空気が
世間に広まってくれば、
受験や就職における学歴偏重の状況を
ずいぶん改善できるのではないか。