◆どんな取引にも誰かしら相手方が存在する 多くの場合、 それは金融機関やプロの投資家で、 彼らは個人投資家の判断ミスに つけこもうと待ち構えている。 ◆男は試し難い 男は無益な考えに取り憑かれる回数が 女よりはるかに多く、 その結果、女の投資実績は男を上回る。 ◆投資は富を脅かす 平均的には 最も活発な投資家が最も損をする。 そして、 取引回数の少ない投資家ほど儲けが大きい。 ◆スキルの錯覚 金融業界というところは 「スキルの錯覚(illusion of skill)」 の上に成り立っている。 株の売り手と買い手の大半は 同じ情報を持っているはずであり、 それでもなお取引が成立するのは、 彼らがちがう意見を持っているからである。 買い手は、 いまは安すぎるからこれから上がると考える。 売り手は、 高すぎるから下がると考える。 不思議なのは、 買い手と売り手がそろって、 現在の価格は正しくないと 考えていることだ。 なぜ彼らは、 市場より自分のほうが適正な株価水準を よく知っていると信じているのか。 多くの場合、この確信が錯覚を生む。 ◆消費者が飢えているのは、 企業の成功と失敗を明快に 一刀両断してくれる説明であり、 原因をわかった気にさせてくれる物語なのだ。 たとえ、それが幻想であろうとも。 ビジネス書は、 大きく2つに分類できる。 ・経営者・企業の成功・失敗の物語の本 (もちろん、成功が多数で失敗は少数である) ・成功した企業とそこそこの企業を比較分析する本 しかし、どちらの本も、 リーダーの個性や経営手法が 業績におよぼす影響を常に誇張していて、 ほとんど役に立たない。 「ビジョナリー・カンパニー」を始めとする この種の本が発信するメッセージは、 よい経営手法は学ぶことができるし、 それを学べばよい結果がついてくる というものである。 だが、どちらのメッセージも、 誇張が多すぎる。 多かれ少なかれ成功した 企業同士の比較は、要するに、 運のよかった企業同士の比較にほかならない。 運が大きな役割を果たす以上、 成功例の分析からリーダーシップや 経営手法のクオリティを推定しても、 信頼性が高いとはいえない。 たとえ、CEOがすばらしいビジョンと 能力を持っているとしても、 その会社が高業績を挙げられるかどうかは、 コイン投げ以上の確率で 予測することはできない。 ◆成功の公式 成功=才能+幸運 大成功=少しだけ多くの才能+たくさんの幸運 ◆2つのシステム システム1:速い思考 自動的に高速で働き、 努力はまったく不要か、 必要であってもわずかである。 また、自分のほうから コントロールしている感覚は一切ない。 システム2:遅い思考 複雑な計算など頭を使わなければできない 困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。 システム2の働きは、 代理、選択、集中などの 主観的経験と関連づけられることが多い。