◆カラスとキツネ (あらすじ) 「カラスのお殿様、 一度でいいからあなた様のご自慢の鳴き声を、 私にお聞かせください」 とカラスは木の下のキツネにほめられた。 甘い言葉に気をよくしたカラスは、 よせばいいのに「カーア」 と鳴き声を披露したのが運のつき。 鳴いた拍子に、 くちばしではさんでいたチーズが、 ポトンと地面に落ちてしまった。 木の下にいたキツネは、 待ってましたとばかりに 落ちたチーズを拾って、 すたこらさっさ。 シナリオどおりに運んだことに うれしさを隠しきれないキツネは、 笑いで身をよじらせながら走り去っていく。 他人をおとしいれてのうのうとしている詐欺師は、 いつの世の中にもいるもの。 人をだます彼らにしてみれば、 だまされる人間が悪いというわけである。 だます人間にならないのはもちろんだが、 おいそれと悪いやつの甘言にのらないためにも、 いつも自分自身を自覚しておくべきなのである。