◆キツネとコウノトリ (あらすじ) キツネはあるとき、 お昼をごちそうしたいからとコウノトリを招待。 キツネは、 いつものようにひらたいお皿にスープをよそい、 コウノトリに出した。 キツネはぺろぺろ舐めて、 あっという間にスープを平らげてしまった。 ところがコウノトリは、 長いくちばしではお皿のスープが飲めない。 さんざんくやしい思いをさせられたまま、 お腹をすかして家に帰った。 それからしばらくして今度はコウノトリが、 キツネを昼食に招待。 コウノトリは、 細かく刻んだお肉の入ったスープを 細長い器に入れて出した。 キツネは器に口も舌も入れることができない。 コウノトリはキツネの前で、 実に美味しそうに細いくちばしで スープをツールツールと飲んだ。 キツネはそれを見ながら、 くやしさが募るばかり。 結局、お腹をすかしたまましっぽを丸め、 耳をたれて家に戻った。 人をだましたりいじわるをしたりすれば、 必ず同じ目にあわされる。 「目には目を、歯には歯を」、 それが旧約聖書の時代から、 ヨーロッパに受け継がれている 思想の原点である。 私たちが読んだイソップ童話にある キツネの相手はツルだが、 原作に登場するくちばしの長い鳥は コウノトリ。 ヨーロッパでは古くから幸福をもたらす とされているコウノトリが、 ここではキツネのおじさんの裏をかく、 いじわるおばさんに扮している。 日本にも喧嘩両成敗とか、 自業自得といった言葉がある。 キツネのおじさんとコウノトリの おばさんの話はまさにそれで、 だませばだまされるのたとえである。 目には目を、歯には歯を。 これがハムラビ法典、 旧約聖書の時代から受け継がれている ヨーロッパ的な思想の原点である。