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ラ・フォンテーヌの童話【海綿を背負ったロバと塩を背負ったロバ】



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◆海綿を背負ったロバと塩を背負ったロバ
(あらすじ)
ロバ引きが鞭を手に、
二頭のロバを連れていた。

一頭はさっそうと歩き、
もう一頭は鞭打たれながらのろのろと歩いていた。

さっそうと歩いているロバが背負っていたのは、
軽い海綿。

のろのろと歩いているロバは
塩を背負っていたので、
荷物が重たくて速く歩けなかったのだ。

川にさしかかったとき、
ロバ引きは海綿を積んだロバに乗りながら、
もう一頭の塩を積んだロバを追いたてた。

すると塩を背負ったロバが
川の深みにはまってしまった。

幸いすぐにロバは起き上がり、助かった。

ただ、泳いている間に背負っていた塩は、
すっかり水に溶けてなくなっていた。

塩が溶けてしまったので、
それまで重かった荷物はもうなくなった。

荷物がなくなって楽になったロバを見た
海綿を積んだロバは、
それがうらやましくなった。

そして、塩を背負ったロバのように水に浸かれば、
背負っている荷物が溶けるに違いないと思った。

海綿を背負ったロバは、
首まで水に浸かってみた。

ところが、さあ大変。

ロバが背負っていた海綿が水を含んだので、
重いことといったらたまりません。

こんなはずではなかったと、
水を含んで重たくなった海綿を背負ったロバは
後悔することしきり。

だれかに勧められたからとか、
ほかの人のまねをすればいいからといった
安易な気持ちで動いてはいけない。

ほかのだれでもない、
あなたにとってどうなのか、それが肝心。

というのもあなたはあなた、
ほかのだれでもなくあなた自身なのだから。

フランス人がもっとも嘲笑うのが、
このお話の海綿を背負ったロバなのである。

そら見たことか、
そうでしょうやっぱりと歯牙にもかけない。

そもそもフランスでは、
なにが卑しいとされるかといって、
人のまねをするほどバカにされることはない。