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ラ・フォンテーヌの童話【ウサギとカエル】



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◆ウサギとカエル
(あらすじ)
心配すること以外することがないような、
ふさぎやウサギが巣の中で考えこんでいた。

憂鬱症のウサギは風の音に怯え、
物影に驚き、なにかというと熱を出していた。

そんなウサギがかすかな音に驚いて、
自分の巣に向かって走り出したときのこと。

池のほとりまで走ってきたところで、
ウサギはあることに気がついた。

「あれ、おかしいぞ。
ぼくの姿に驚いてカエルたちがいっせいに
池に飛び込んでしまったぞ。

残りのカエルたちも、
いっせいに洞窟に逃げ帰ったじゃないか。

おやおや、ぼくがだれかに驚かされたり、
怯えさせられているのと同じようなことを、
ぼくはカエルたちにしているみたいだ。

ぼくの姿に震え、
恐れをなして逃げていくやつがいるなんて、
いったい世界はどうなっているのだろう。

この心配性のぼくのどこが、
カエルを驚かす力があったのかしら」

いくら臆病でも、
自分よりもっと臆病な者を
見い出せない者はいない。

弱音ばかりはいていないで深呼吸。

あなたのまわりを見回してみよう。

あなたよりもっとつらい立場の人が
きっといるはず。

日本は今、
失われた30年といわれているけど、
もっとひどい国もたくさんある。

がむしゃらに上をめざした時代は、
もう終わったのだ。

かつて日本は、
「ジャパン アズ ナンバーワン」
という本のタイトルになったほど、
経済、技術など各方面で他国に比類ない
発展を謳歌していた。

日本がナンバーワンに輝いていたとき、
フランスはどうだったか。

失業率は急伸中、
とりわけ若年失業者の存在が問題になっていた。

お隣のイギリスしかりで、
こちらも何度目かのポンド切り下げを敢行。

労働者のストライキも頻発し、
英仏ともに出口のない不況にあえいでいた。

ところが、今の日本と、決定的な違いがあった。

その当時のイギリス人とフランス人も、
だれひとりとして不景気を自分たちのせいだとは
思っていなかった。

少なくとも今の日本の男性のように、
意気消沈したり自信喪失になったりする人は、
イギリスにもフランスにもいなかった。

フランス人とイギリス人も
不況のどん底にいながら、
気分的にはどうにかなるさと思っていた。

景気はよくないけど、
それがどうした、どこが不幸だ。

もっと惨憺たる国だって、
この地球にはたくさんあるぞとばかりに。

このたとえのように、
私たち日本人も、
自分たちばかりの状況がよくないと
思うのはよそう。

これからは下を見て安心しながら、
ノンビリと低成長時代を
楽しく暮らしていくという選択肢もある。