◆納屋に入ったイタチ (あらすじ) ある日、病み上がりのために細身になっていた イタチの奥方が狭い穴を通り、 納屋に入った。 納屋にはたくさんの美味しい食べ物があり、 イタチの奥方は食べ放題、 食べたい放題の生活を謳歌していた。 何日かするうち、 イタチの奥方のからだに脂肪がつき、 顔はまん丸、お腹はでっぷり。 そして1週間ほどたったあるとき、 だれかが近づいてくる 物音を耳にしたので大あわて。 大急ぎで納屋から出ようとして狭い穴に向かった。 ところが、通ってきたはずの穴は小さくて、 とても通れなかった。 イタチの奥方がうろうろしていると、 一匹のネズミがそばを通りかかって、 こう言った。 「奥さん、入ってきたときお腹は、 へこんでいたんじゃないですか。 細身でここに入ってきたのだから、 同じように細くなって出ていかなくちゃ。 どうしたもこうしたもないですよ。 あまり深く考えないことですな」 そう、この納屋から出ることが先決なのだから 答えはひとつ。 入ってきたときのようにイタチの奥方、 あなたがやせればいいだけなのです。 本来の姿はなんなのか。 今、一番先にしなくてはならないことはなんなのか。 余計なことに気を取られず、 ものごとの本質を見極める力を養うことが大切。 よくよく考えると、 あいまいな日本人の態度は、 現実を掌握していないことからくることが多い。 本来の姿はなんなのか、 今、私たちが一番先にしなくてはならないことは なんなのか、それが見えない。 相手の反応が気になったり、 単刀直入にものをいっては 相手に失礼なのではないかとか、 さまざまなエクスキューズはあるものの、 実ははっきりとしたことが いえないからごまかす。 つまりは、 本質を見極めたくないからなのではないだろうか。 もしくは、 核心に触れたくないのではないだろうか。