Liberal Arts {Article292}

ようこそ「リベラル・アーツ」へ...

不老不死ビジネス 神への挑戦 【チップ・ウォルター 】



【動作環境】iPhone[○], Android[○], Windows{Microsoft Edge[○], Google Chrome[○]}
◆どれほど素晴らしい遺伝子の持ち主で、
きちんと育てられ、ストレスと上手に付き合い、
しっかり運動し、正しい地中海式の食事だけを
とっていたとしても、
人間は200年も300年も生きることはできない。

それほど長生きする人間がいないのはなぜか?

理由ははっきりわからないが、
進化の過程であらゆる動物には種ごとに一定の寿命が
定められているのではないだろうか。

人間も例外ではない。

ホモ・サピエンスの寿命の限界は110歳から120歳
あたりのように思われる。

150年も200年も生きる人間はいない。

つまり、本気で人間の寿命を大幅に延ばしたければ、
誰かがどうにかして変数β(※)を変えるしかない。

それが究極の問題を解決できる唯一の方法
ということになる。

※年齢の死亡率の関係を数式で表したゴンペルツの法則

方程式を書くと、
H(t)=αeβt + γ
のようになる。

式の「H(t)」は、時間tが経ったときに
死ぬ人間の割合を表している。

式で使われるα、β、γは
極めて重要な意味を持つ変数で、
式の右側はどのような割合で
すべての死がもたらされるかを説明している。

αは、一人一人の人間に配られた遺伝子のカードと
個人の経験(ストレス、食生活、医療、運動、
経済状態、社会的地位など)
が合わさったものを表している。

αは、これらの変動因子によって決まり、
人によって異なる。

γは偶然に起こる、命に関わる出来事
(自動車事故、洪水、殺人など)を表す。

βは、個人の経験に関係なく、
人類全体に影響する普遍的な力を意味する。

◆最近になって、
ようやく主流派の研究者たちが
複雑な問題に取り組み始めた。

正直に言えば、
老化とは何なのかを本当に理解している人間はいない。

病気なのか。

いくつかの病気が重なっているのか。

光より速く移動することができないのと同じような、
自然の動かぬ掟なのだろうか。

老化は、
古くなった機械のように、
年を経るごとに体の細胞が壊れていくという
単純な話ではないと研究者たちは考えている。

そう、太陽からやってくる放射線や
飲食物に含まれている化学物質、
身体・精神的なストレス、悪玉酸素(フリーラジカル)
のようなそこら中にいる悪者の手によって、
毎秒のように全身のDNAにダメージを与える残酷な
ハンマーが振り下ろされているのだ。

だが、まだ話は半分しか終わっていない。

進化によって驚くほど能力を高められた分子システムが
このダメージを修復し、体は問題なく機能し続ける。

しかし、年を取ると、
この修復メカニズムそのものがうまく働かなくなり、
破壊工作が加速する。

◆老化が体の自然な営みだということは周知の事実だ。

まともな医師なら、
老化を阻止する方法を本気で考えようとは
思わないだろう。

結局のところ
橋も、道路も、機械も、イヌも、ネコも、
山や谷さえも、形あるものはいつか壊れる。

それが自然の摂理だ。

偉大なる命の輪。

人間も例外ではない。