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経営12ヵ条〔3〕【稲盛和夫】



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◆「経営12ヵ条」の根底に流れる思想とは?

「経営12ヵ条」の根底には、
「人間の思いは必ず実現する」という思想がある。

なぜこのような思想ができたのか。

それは中村天風というヨガの達人に強く影響を受け、
その思想が反映されている。

天風は「常に明るく、ポジティブな思いを描きなさい」
と言っている。

その理由は、
人生はその人の心が描いたとおりになるからである。

つまり、この現世において個々人がたどっていく道は、
その人が心に描いた道であり、
それをそのままたどっていくのだということ。

これと同じことを、
天風だけでなく多くの思想家が述べている。

ジェームズ・アレンという思想家は、
「自分こそが自分の人生の創り手である」
と言っている。

これは、
自分の人生をつくるのは偶然でも運命でもなく、
あなた次第であり、
あなたの思ったとおりになるということである。

さらに人間は心に描く思いによって
気高い崇高な存在になることもできるし、
獣のような存在に落下することもできると言っている。

さらにジェームズ・アレンは、
思いの大切さをこう説いている。

「人間の心は庭のようなもの。
それは知的に耕されることもあれば、
野放しにされることもあるが、
そこからは、どちらの場合にも必ず何かが生えてくる。

もしあなたが自分の庭に、
美しい草花の種を蒔かなかったなら、
そこにはやがて雑草の種が無数に舞い落ち、
雑草のみが生い茂ることになる。

すぐれた園芸家は、庭を耕し、
雑草を取り除き、美しい草花の種を蒔き、
それを育みつづける。

同様に、私たちも、
もしすばらしい人生を生きたいのなら、
自分の心の庭を掘り起こし、
そこから不純な誤った思いを一掃し、
そのあとに清らかな正しい思いを植えつけ、
それを育みつづけなくてはならない」
    
あなたの心の庭に、思いという種を蒔いて、
雑草が生えないように手入れをすれば、
あなたが望んでいるような美しい花が咲き、
それは必ず実になる。

つまり、思いというのは、
ただ単に思っただけではなく、
行為として現れて花開き、結果を招来する。

自らの心に美しい思いを抱けば
素晴らしい結果が生まれ、
悪い思いからは決してよい結果が生まれない。

思いという「原因」は必ず「結果」と結びつく。

つまり、
「思いという原因があれば、必ず結果が生まれる」
という真理(因果応報)が宇宙には存在する。

では、物事を実現させる強い思いというのは、
どこから生まれてくるのか。

人間の心は多重構造になっていて、
その多重構造の中心に「真我」と言われるものが
存在する。

真我とは、清らかで美しく純粋なもので、
悟りを開いた人しか感知できないとされている。

われわれ一般人は真我を感知することはできないが、
真我からはわれわれの意識に
気高く美しいメッセージがシグナルとして送られてくる。
それが「思い」である。

思いは頭で考えて出てくるものではない。

そういう気持ちがどこからか湧いてくる。

実は、思いが最もパワーを持って実現するのは、
真我から生まれるときである。

思いを真我に近いところにまで持っていけば、
もっとパワフルなものが実現する。