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得する生活―お金持ちになる人の考え方[2] 【橘 玲】



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◆人が教育によって知識や技術を獲得すれば、
それが労働生産性を高め、将来賃金を上昇させる。

ファーストフードの店員よりも医師や法律家、
コンピュータプログラマの給与が高いのは、
彼らが強欲でずる賢いからでも、
たまたま運がいいだけでもなく、
より大きな人的資本を持っているからだ。

人的資本は教育や技能、
知能のほかに健康をも含み、
近代国家の富の75%を占める。

アメリカの大学生が借金してでも
高等教育を受けるのは、
それが充分ペイする取引だからだ。

日本でも調査が行われ、
大学教育は年利6~9%の投資効果が
期待できるとの結果が出ている。

これは、現在の低金利を考えれば
圧倒的に有利な投資先だ。

「お金持ち」を経済学の用語で定義すると、
「労働生産性の高い市場参加者」となる。

労働生産性は、人的資本の総体量で決まる。

人は教育を受けなくても成功することができる。

マイケル・ジョーダン、デイビット・ベッカムなどは
圧倒的な人的資本を持っている。

経済的な成功は学歴のみで決まるわけではない。

だが効率的な労働市場において、
教育・技能・知識などの人的資本を持たない個人が
平均より高い報酬を得ることは困難である。

人的資本の蓄積は経済的な成功をもたらし、
成功者はお互いを信頼し合うことで関係資本を築き、
より多くの収益機会を手に入れていく。

信頼を失った者は誰からも相手にされず
人的資本も関係資本もやせ細り、
ますます貧乏になっていく。

これが、私たちの社会の身も蓋もない現実である。

ただ、ChatGPT, Google Bardのような
生成AIが発達すると、
学歴を持つことの優位性が
本当に維持できるのか疑問が残る。

なので、AIの時代には、
コミュニケーション能力、創造性、
論理的思考力、問題解決能力、
自己学習能力、チームワーク能力、
リーダーシップ能力等の
スキルを身につけることが重要となる。

◆金持ちと貧乏には経済的な理由がある

学問は時として残酷な事実を私たちに告げる。

「貧しい人は心が美しく、金持ちはずる賢い」

これは世間一般の常識だが、
残念ながら誤りである。

各種の社会調査によれば、
成功者ほど他人を信頼し、
貧乏人ほど疑り深く、
猜疑心が強いという傾向が顕著に現れている。

同様に、高学歴者ほど他人への信頼度が高く、
学歴が低くなるにつれて疑い深くなる。