◆個人版民事再生法の場合は 「退職金」はどうなるの? 個人版民事再生法の場合は、 将来もらえる「退職金」は 差し押さえの対象にはならない。 個人版民事再生法では、 債務者の生活を維持するために必要な財産は、 差し押さえの対象から除外される。 そのため、退職金は、 生活費として必要な財産として認められるため、 差し押さえの対象にはならない。 ただし、退職金が、 個人再生計画の履行に必要な財産である場合、 裁判所の許可を得て、 退職金の一部を差し押さえされる可能性がある。 具体的には、 次のいずれかの条件を満たす場合に、 退職金の差し押さえが認められる可能性がある。 ・退職金が、個人再生計画の支払いに必要な場合 ・退職金が、個人再生計画の担保に必要な場合 なお、個人版民事再生法の申立てを行う際には、 退職金の額と用途を裁判所に申告する必要がある。 裁判所は、申告内容を審査して、 差し押さえの可否を判断する。 ◆自己破産したとき「退職金」はどうなるの? 自己破産の場合、 原則として退職金は差し押さえの対象となる。 ただし、以下の条件を満たす場合は、 差し押さえの対象外となる可能性がある。 ・退職金の額が、生活費として必要な額を超える場合 ・退職金が、 債務者の生活を立て直すために必要な場合 生活費 = 最低生活費 + 特別生活費 最低生活費は、 健康保険料や国民年金保険料、住居費、食費、 交通費などの必要経費を基に算出される。 特別生活費は、教育費や介護費などの 特別な費用を基に算出される。 なお、自己破産の申立てを行う際には、 退職金の額と用途を裁判所に申告する必要がある。 裁判所は、申告内容を審査して、 差し押さえの可否を判断する。 ◆弱者に優しい国 日本は弱者に優しい国である。 したがって、他人より有利な扱いを受けるにはまず 「弱者」にならなければならない。 不況で会社をリストラされ、 家族を抱え、 再就職もままならないという状況が最適である。 それがダメなら、 不景気で給料やボーナスが減額され、 ローンが返済できなくなっただけでもいい。 たまたまこうした「弱者」になる機会があったら、 あなたの目の前には新しい可能性が開けてくる。 借金を棒引きにする指南本がさくさん出ている。 簡単にまとめると次のようなものがある。 1: 自己破産 メリット:すべての借金が免除される。 デメリット:信用情報に傷が残る。 2: 個人版民事再生法 メリット:一部の借金が免除される。 デメリット:3年間(※)、 収入の3分の1(※)を返済しなければならない。 ※返済期間と返済額は条件により異なる。 3: 特定調停 メリット:借金の減額や返済期間の延長を 認めてもらえる可能性がある。 デメリット:調停が成立しない場合、 裁判で争うことになる。