◆幸福な「弱者」 誰かが得をするということは、 別の誰かが損をするということだ。 借金を踏み倒す人間が増えて 金融機関の経営が悪化すれば、 公的資金という名の税金が投入される。 チャラにされた借金のツケは、 納税者が支払っている。 貸し倒れ率が高くなれば、 金融機関は貸出し利息を引き上げるだろう。 結果的に、 真面目に返済をしている人が 重い負担に苦しむことになる。 上限金利が法で決められている以上、 金融機関はハイリスクの顧客を 融資対象から排除する。 自己破産が増えると貸出し基準が厳しくなり、 多くの人が合法的な金融の世界から追放され、 闇金融の手に落ちる。 真面目に約束を守る人間はバカである。 他人から金を借り、 踏み倒し、遊んだ人間が得をする。 日本はいつのまにか、 弱者に優しい魔法の国になってしまった。 借金を踏み倒すデメリット: ・信用情報が傷つき、新たな融資を受けにくくなる。 ・強制執行によって財産を差し押さえられる。 ・自己破産をすると、 一定期間、クレジットカードやローンを利用できない。 ・借金を踏み倒したことが知れ渡ると、 社会的信用を失う。 ◆金儲けの基本は、どの商売でも同じだ。 儲けている奴を見つけ、 そいつの真似をするのだ。 食えない弁護士たちが目をつけたのは、 サラ金やクレジットカードで首が回らなくなった 多重債務者を餌食にする「整理屋」だ。 彼らは、借金を返済できなくなった人間に、 「金を貸してくれるところを紹介してやる」 「借金をまとめて一本にしてやる」 と言葉巧みに近寄ってくる。 それを見習って、食えない弁護士も、 「あなたの借金を整理します!」と チラシを撒いて多重債務者を集める。 なによりも彼らは(弁護士)、 自己破産で借金をチャラにする という大きな武器を持っている。 だが、ここで疑問を持つ人もいるだろう。 「借金しかない奴を相手にして、 どうして金が儲かるのか?」 整理屋は、 ここで独創的なビジネスモデルを開発した。 金は、別の奴に出させればいいのだ。 100万円の借金で首が回らない奴がいたとすると、 そいつの借金を1本にまとめて150万円借りてやる。 100万円を返済しても50万円残るから、 その中から報酬として30万円から50万円を受け取る。 では、整理屋のこの報酬はどこから出てきたのか? 言うまでもなく、 金を返せるはずもない多重債務者に 150万円もくれてやったバカな金貸しだ。 それは大手の消費者金融や クレジットカード会社の場合もあれば、 非合法なヤミ金融のこともある。 こうして錬金術のように、 金のない人間から金が生まれる。