Liberal Arts {Article509}

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山岡鉄舟 修養訓 [9] 【平井正修】



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◆真剣に生きる

世の中に何も望みがないとしても、
生きているうちはとにかく
一所懸命働かなくてはいけない。

そう、人間は働かなければいけないのだ。

我々は毎日生きているが、
「生きる=楽」
だと思うからいけないのではないか。

「働かざる者食うべからず」
とまではいわないにしても、
今の日本人は
生きていることが当たり前になりすぎて、
真剣に生きることを
忘れているのではないだろうか。

動物の世界を見れば一目瞭然だが、
生きることは決して楽でも当たり前でもない。

野生動物は命をかけて
獲物をしとめて自らの命をつないでいく。

生まれた以上ちゃんと生きていく権利がある
などといっているのは人間だけだろう。

その生きる権利を保障するために
生活保護というような制度もある。

だが、働けるのに働かないで
お金をもらうようになったら人間はおしまいだ。

働かなくてもお金がもらえる、
働いたらお金がもらえなくなるとなれば、
どちらを選ぶかは自明の理だろう。

それが人間のさがというものだ。

動物を見れば、
生きることは本来大変なことなのだとわかる。

人間も本当は同じこと。

働くのが当たり前で、
生きていくために
一所懸命働かなければならないのだ。

まして日本なんて
人間が働く以外には能がない国だ。

中東の国のように、
寝ている間も石油が
湧いてくるというのなら話は別だが、
日本には資源が何もない、
その上に災害の多い小っぽけな国である。

日本の最大の資産は人なのだから、
人が働かなくなったら
この国は間違いなく終わる。

そして、
今ではその資産である人口も減少している。

将来は、
「AI+ロボット」に頼るしかないのかも知れない。

◆いかにして不安を解決するか

安心を抱けば地震も雷も火事も親父も、
怖いものは何もない。

不安とは夢幻むげんのようなものだ。

今は老若男女を問わず
不安を抱えた世の中ではあるけれど、
考えてみれば、
不安に思うことはまだ起こっていないことだ。

年若い大学生の中にも
「将来、年金がもらえなくなるんじゃないか」
と不安を感じている人がいるようだが、
それはそのときになってみないとわからない。

だから、考えても仕方がないともいえる。

それよりも、
今の自分が変われば
将来も変わっていくのだから、
もしも不安を感じるのであれば、
今の自分をしっかり見つめて
変えていけばいいのである。

100%の不安解決法はない。

まだ起きていないことなのだから
解決のしようがないともいえる。

しかし、
そうは言っても不安を感じるのであれば、
その不安を見据えて、
自分はどうしたらいいのかと考えるしかない。

年金がもらえないことが不安ならば、
今のうちから貯金をすればいいだろう。

そう考えられれば、
不安の解決は案外に
単純なものなのかもしれない。

◆何事にも心を込める

一心に心を込めて修行をしなければ、
何十年修行したところで
決して自分のものにはならない。

人間は、小さい仕事とか
大きい仕事という見方をしがちだ。

だから「なんだよ、
俺にはこんなくだらない仕事をさせて」とか
「おっ、今度は凄い仕事がきた」
といって一喜一憂する。

しかし、本来、仕事に大小はない。

仕事のほうが「これは小さい仕事」
「今度は大きい仕事」
と言っているわけではない。

大小というのは我々が
勝手に決めているだけの話だ。

どんな仕事であれ大切なのは、
体と心を一つにして取り込むことだ。

やるべきことをやればいいのだ。

山中鹿之介やまなかしかのすけのように
「我に七難八苦を与えたまえ」
と自ら苦難を望む必要はないが、
少なからず
目の前の避けて通れない道があるならば、
逃げずに「えいやー」でやるしかないのだ。

本当にやらなければいけないことは、
どんなに苦しかろうが
正面から堂々と立ち向かって、
心を尽くしてやっていく。

それが一番大切なのだ。