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覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰 [2]【池田貴将】



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◆松陰からの学び(その1)

無駄をそぎ落とす。

集団社会で生きて行くことは楽じゃない。

周りに能力を認められるまで、
居場所を手に入れるのに必死だ。

ひとたび自分の居場所を手に入れれば、
今度はさらに居心地をよくするために、
ひとつ上の暮らし、地位、家族、実績・・・
などを手に入れようと必死になる。

そうするうちに、
いつしか人は「居場所を守るために」
生きるようになる。

そのためだったら、
たいていのことはできるようになり、
生き方や信念ですら曲げられるようになる。

安心感を求めるのは生存本能だ。

だが、松陰はそういう生き方を嫌った。

「安定した生活」の先には、
目に見えぬ物に怯える、
つまらない日々しか待っていないと
知っていたからだ。

松陰が理想としたのは武士の生き方だった。

士農工商という制度に守られていた武士は、
何も生み出さずとも、禄(給料)があったが、
その代わり、四六時中「生きている手本」
であり続けなければいけなかった。

武士の日常から無駄なものを削り、
精神を研ぎ澄ました。

俗に通じる欲を捨て、
生活は規則正しく、
できるだけ簡素にした。

万人に対して公平な心を持ち、
敵にすら憐れみをかけた。

自分の美学のために、
自分の身を惜しみなく削った。

目の前にある安心よりも、
正しいと思う困難を取った。

そのように逆境や不安に動じることなく、
自分が信じていた生き方を通すことこそが、
心からの満足を得られる生き方だと
松陰は固く信じていた。

本当に大切にしたいことは何か。

大切にしたい事のために、
今できることは何か。

その問いの繰り返しが、
退屈な人生を鮮やかにいろどる。