Liberal Arts {Article336}

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隷属(※)なき道〔2〕ベーシックインカムと1日3時間労働【ルトガー・ブレグマン】

※他の支配を受けて、その言いなりになること。

【動作環境】iPhone[○], Android[○], Windows{Microsoft Edge[○], Google Chrome[○]}
◆新型のコンピュータに、
10の重いプログラムを並行処理させることを
想像してみよう。

動きはだんだん遅くなり、
エラーが発生し、ついにはフリーズしてしまう。

貧しい人々の状況もそれに似ている。

彼らが愚かな判断をするのは、
愚かだからではない。

愚かな判断に追い込まれる
環境で暮らしているからだ。

◆「欠乏の心理」がもたらす悪影響は、
そのメリットをしのぐ。

欠乏(お金など)はあなたの気持ちを、
差し迫った不足に集中させる。

5分後に始まる打ち合わせ、
翌日に迫った支払いなど。

そこでは、長期的な視野は完全に失われる。

◆生活保護では、
受給資格審査、申請、認可、返還といった煩雑な
手続きの案内人として、
社会福祉課の人員が大勢必要になる。

社会保障制度は、
人々の安心感と誇りを促進すべきものだが、
疑念と屈辱のシステムに成り下がっている。

全ての人に公平に給付するという
ベーシックインカムのシステムは、
よりよい妥協策となるだろう。

◆世界各地で行われた研究により、
確かたる証拠が示されている。

フリーマネー(自由になるお金)は機能する。

すでに研究によって、
フリーマネーの支給が犯罪、小児死亡率、
栄養失調、10代の妊娠、
無断欠勤の減少につながり、
学校の成績の向上、経済成長、男女平等の
改善をもたらすことがわかっている。

◆オランダは、労働とインターネットの分野で
フロンティアを切り開いてきた。

労働の分野では、
1982年のワッセナー合意から始まる
労働環境の先進化が有名だ。

失業対策としてのワークシェアリング
から始まったこの改革は、
1996年には正規雇用者と非正規雇用者の
賃金についての同一労働同一賃金を定めた。

その結果、失業者は、1983年の14%から、
2001年の2.4%まで縮小した。

労働分配率が効率的になった結果、
企業収益も改善、国際競争力もつき、
投資が促進された。

このオランダの成功は、
1日3時間労働で残りの時間を
人生にとって本当に有意義なものに使うと
いったことも可能にする。