◆産業革命以来、 人間の労働時間はずっと減り続けていた。 ケインズは、第一次世界大戦のあと、 スペインで講演を行い、 その中で、 「2030年までに週の労働時間は15時間にまでなる」 と予測した。 ところが、 今日の我々はそんな状況ではまったくない。 確かに1970年代まで労働時間は減り続けていた。 しかし、80年代以降、減少が止まり、 逆に上昇に転じた国もある。 労働生産性を見てみよう。 これは、80年代以降も順調に上がっている。 しかし、逆に労働者の実質賃金は下がり、 貧富の差は、 これ以上ないくらいに拡大している。 何しろ、今世界では上位62人の富豪は、 下位35億人の総資産より多い富を所有しているのだ。 そうした世界を救う方法として、 ベーシックインカムと1日3時間労働 そして国境線の開放が必要である。 日本のケースに当てはめてみれば、 生活保護、奨学金などの学費援助制度、 母子家庭保護のための福祉プログラム等々を 全て廃止する。 そのかわりに全ての個人に 年間150万円(月額約12万円)なりの お金を直接支給するのである。 貧困者はまとまったお金がないことで、 貧困から抜け出せないのだ。 教育制度や奨学金にいくらお金を使っても、 そもそも貧困家庭の子どもたちは そうした制度を利用するということを思いつかない。 だからまず、すべての国民に、 施しではなく権利として 必要最低限の生活を保障するお金を渡す。 開発途上国援助も、NPOや現地政府にお金を渡し、 援助プログラムを支援するよりも、 直接人々にお金を渡すほうが、 はるかに効果がある。 また、中間の官僚やNPO等の 人件費等にかかるお金を考えれば、 実は費用対効果でも実効性のある方法である。 このベーシックインカムが導入されれば、 日本の生活保護制度をめぐる様々な問題は 一挙に解決するだろう。 日本の生活保護の場合、 常に左派と右派の論戦の焦点になるのは 不正受給の問題だが、 これは行政側が審査をする 認定するという作業があるために生じる問題だ。