Liberal Arts {Article338}

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隷属(※)なき道〔4〕ベーシックインカムと1日3時間労働【ルトガー・ブレグマン】

※他の支配を受けて、その言いなりになること。

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◆世界の貧困を一掃する最良の方法は
「開かれた国境」である。

これが実現すれば、
「世界総生産」における予想成長率は、
世界的な労働市場の動きのレベルに応じて、
67%から147%に及ぶと、
異なる4つの研究が示している。

そして労働の国境を開けば
65兆ドルの富が生み出される。

国境は差別をもたらす唯一最大の原因である。

◆テクノロジーの恩恵を
手放したくないのであれば、
残る選択肢はただ一つ、再分配だ。

金銭、時間、課税、
そしてロボットも再分配する。

ベーシックインカム(金銭)
労働時間の短縮(時間)は
その具体的な方法なのだ。

◆不平等は広がり続け、
機械にはできない技術を習得しなかった人は、
わきに追いやられる。

一方で、
裕福な高学歴の人々は結束を固めていく。

ヨーロッパではすでに、
アムステルダム、シュツットガルト、
ミュンヘンなどにコンピュータ技術者が
集まっている。

◆産業革命の時代、
織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。

そして今、第二次機械化時代になり、
AIとロボットが「中流」
と呼ばれる人々の仕事を奪う。

◆未来学者のレイ・カーツワイルは、
2029年までにコンピュータは
人間と同等の知能を持つようになると
確信している。

そして、2045年には
コンピュータは全人類の脳の総計より10億倍、
賢くなっている、と言う。

◆20世紀の間、
生産性の伸びと雇用の伸びはほぼ平行していた。

人と機械が肩を並べて歩いていたのだ。

しかし、21世紀に入ると、
ロボットが突然スピードを上げた。

生産性は過去最高のレベルにあり、
革新はかつてないスピードで進んでいるが、
同時に、平均収入が落ち、雇用が減っている。

◆オックスフォード大学の学者は、
20年以内に米国人の仕事の47%以上と
ヨーロッパ人の仕事の54%がもたらす
悪影響は、機械に奪われる危険性が高い、
と予測する。

◆不変と思われた労働対資本の比率が
崩壊した。

国民所得の3分の2が労働者の給与になる
という状態から、現在の先進工業国では
国の富の58%しか、
給与として労働者に支払われていない。

世界が小さくなり、
「勝者が独り勝ちする社会」がやってきた。

◆私達はみな貧しくなった。

銀行が1ドル儲けるごとに
経済の連鎖のどこかで60セントが
失われている計算になる。

しかし、研究者が1ドル儲けると、
5ドル以上の額が、経済に還元される。

高額所得者に高い税金を課せば、
「才能ある個人を、
負の外部性をもつ職業から、
正の外部性を持つ職業に再分配」できる。

税金を高くすれば、
有益な仕事をする人が増える。

◆農業や工業の効率が上がるにつれて、
経済に占める割合が縮小。

サービス産業に多くの仕事を生み出した。

ますます多くの人が
有形の価値を生み出さないまま
金を儲けるシステムが出来上がった。

そこには「くだらない仕事」
をする余地も生まれた。

そして管理職が多い国ほど、
生産性と革新性が低いことが分かっている。

ハーバード・ビジネス・レビューが
2000人の専門職の人を対象に行った
調査では半数が、
自分の仕事は「意味も重要性も」ないと感じ、
同じく半数が、
自らの会社の使命に共感していなかった。