◆世界の貧困を一掃する最良の方法は 「開かれた国境」である。 これが実現すれば、 「世界総生産」における予想成長率は、 世界的な労働市場の動きのレベルに応じて、 67%から147%に及ぶと、 異なる4つの研究が示している。 そして労働の国境を開けば 65兆ドルの富が生み出される。 国境は差別をもたらす唯一最大の原因である。 ◆テクノロジーの恩恵を 手放したくないのであれば、 残る選択肢はただ一つ、再分配だ。 金銭、時間、課税、 そしてロボットも再分配する。 ベーシックインカム(金銭) 労働時間の短縮(時間)は その具体的な方法なのだ。 ◆不平等は広がり続け、 機械にはできない技術を習得しなかった人は、 わきに追いやられる。 一方で、 裕福な高学歴の人々は結束を固めていく。 ヨーロッパではすでに、 アムステルダム、シュツットガルト、 ミュンヘンなどにコンピュータ技術者が 集まっている。 ◆産業革命の時代、 織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。 そして今、第二次機械化時代になり、 AIとロボットが「中流」 と呼ばれる人々の仕事を奪う。 ◆未来学者のレイ・カーツワイルは、 2029年までにコンピュータは 人間と同等の知能を持つようになると 確信している。 そして、2045年には コンピュータは全人類の脳の総計より10億倍、 賢くなっている、と言う。 ◆20世紀の間、 生産性の伸びと雇用の伸びはほぼ平行していた。 人と機械が肩を並べて歩いていたのだ。 しかし、21世紀に入ると、 ロボットが突然スピードを上げた。 生産性は過去最高のレベルにあり、 革新はかつてないスピードで進んでいるが、 同時に、平均収入が落ち、雇用が減っている。 ◆オックスフォード大学の学者は、 20年以内に米国人の仕事の47%以上と ヨーロッパ人の仕事の54%がもたらす 悪影響は、機械に奪われる危険性が高い、 と予測する。 ◆不変と思われた労働対資本の比率が 崩壊した。 国民所得の3分の2が労働者の給与になる という状態から、現在の先進工業国では 国の富の58%しか、 給与として労働者に支払われていない。 世界が小さくなり、 「勝者が独り勝ちする社会」がやってきた。 ◆私達はみな貧しくなった。 銀行が1ドル儲けるごとに 経済の連鎖のどこかで60セントが 失われている計算になる。 しかし、研究者が1ドル儲けると、 5ドル以上の額が、経済に還元される。 高額所得者に高い税金を課せば、 「才能ある個人を、 負の外部性をもつ職業から、 正の外部性を持つ職業に再分配」できる。 税金を高くすれば、 有益な仕事をする人が増える。 ◆農業や工業の効率が上がるにつれて、 経済に占める割合が縮小。 サービス産業に多くの仕事を生み出した。 ますます多くの人が 有形の価値を生み出さないまま 金を儲けるシステムが出来上がった。 そこには「くだらない仕事」 をする余地も生まれた。 そして管理職が多い国ほど、 生産性と革新性が低いことが分かっている。 ハーバード・ビジネス・レビューが 2000人の専門職の人を対象に行った 調査では半数が、 自分の仕事は「意味も重要性も」ないと感じ、 同じく半数が、 自らの会社の使命に共感していなかった。