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ツキの方程式〔4〕運の良い人は直感力が強い【マックス・ギュンター】



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◆ギャンブルと自滅願望

どうしてもギャンブルがやめられず、
しかも負け続け、
周囲にさんざん迷惑をかけている、
そういう人たちに関しては、
昔からいろいろな説がある。

カリフォルニア大学の教授で
精神科医のウィリアム・ボイド博士は、
納得のいく説明をしてくれる。

彼はこう言う。

「ギャンブル狂いの人たちは皆、
ごく普通の人たちですよ。

ただ、努力がとても嫌いなだけです。

懸命に働いたのだけれど、
まるで報われなかった、
という過去を持つ人が多いです。

そういう人は、
他人に『食いものにされた』という意識が強く、
同じ気分を味わうのは二度とごめんだと思っています。

それで努力をしようとしないのです。

元手をかけずに得をしたいといつも考えています。

直感に頼りたがるのはそのためです。

しかし直感といっても、
実のところ『なんとなくそういう気がする』
というにすぎず、
ほとんど当たることはありません」。

大損をする投機家は、
多くがこの種の直感に頼る人たちだ。

彼らは「なんとなくこれから相場が上がる気がする」
というだけで、
十分な情報も集めることなく、
株を買ってしまうのだ。

当然必要なはずの手順を惜しむ。

大損をするのも当然だ。

情報の裏づけがない直感は合理的な直感ではない。

◆幸運でありたいと望むのなら、
直感力はぜひとも身につけておくべき能力だろう。

では、どうすれば身につけることができるのか。

そのためには、次の「3つのルール」を
守る必要がある。

●ルール1:直感に十分な情報の裏付けがあるかを
確かめる

直感は、前触れなく不意に訪れるものである。

突然、わけもわからず「きっとこうに違いない」
と強く感じる。

その直感が果たして正しいのか否か、
どうすれば判断できるのだろう。

そのヒントはハザードの言葉の中にある。

彼はこう言っている。

「不意に直感が湧いたとき、
私は自分にこう問いかけます。

『それは本当に確かか? ちゃんと根拠はあるか?』
と。

もちろん、仮に根拠があったとしても、
それが具体的にどんなものかわることは
まずありません。

いくら考えてもわかる見込みはないでしょう。

しかし、根拠があるかどうか、
またその根拠がどのくらい確かかは、
自分に問いかければわかるんです。

『もし直感が正しいなら、
無意識のうちに根拠となる情報が大量に
得られていることになる。

自分はそれだけの情報を得られる
立場にいると思うか?

たとえそれがどんな情報かわからなくても、
情報を持っていることだけは確かだと思えるか?』。

問いの答えがすべてイエスで、
しかも直感が強力なものなら、
私はそれに従います」

▶補足ルール1:知り合ったばかりの人に関する直感は
どれも信用しない。

▶補足ルール2:「怠けたい」という理由で
直感に頼らない。

●ルール2:願望と直感を混同してはならない

直感したことが、
自分が強く望んでいる通りのことだった場合、
その直感は疑ってかかったほうがいい。

ナタリー・シャイネス博士はこう指摘する。

「誤った直感は、その多くが『偽装をした願望』
なのです。

何かをあまり強く望んでいると、
その通りのことを直感した、
と勘違いすることがあるのです。」

博士は、たとえ自分が
「大豆の先物取引で大儲けできそう」
などと直感しても
信用しないと言っている。

「願望と直感は混同されやすい」ということも、
その理由の一つなのだろう。

強い願望は、
私たちの心の中でその姿を変え、
直感と見分けがつかなくなってしまうことがあるのだ。

ボイド博士も、
直感と願望を混同することが、
投機家やギャンブラーが失敗する
主な原因の一つだと言っている。

●ルール3:直感力は自らの意志で鍛える

直感力は鍛えることのできるものだが、
実際には鍛える人は少ない。

それは、おそらく自らの感覚や感情に
向き合う人が多くないからだろう。

正しい直感を得るには、
自分の内なる声に耳を傾ける必要がある。

感覚の一つひとつに敏感になり、
自分が今、何をどう感じているのかを
よく確かめなくてはならないのである。

これは、3つのルールのなかでも
特に重要であると考えられる。

▶補足ルール1:自分の直感を殺さない

▶補足ルール2:常にその場の印象や雰囲気を
つかむ努力をする

◆無意識下の情報や記憶の有効性

直感は、極めて正確に当たることもある。

では、そんな直感はどのように生まれるのだろうか。

第一に重要なのは、
直感はあくまで自分が周囲の世界から
取り入れた情報から生まれる、ということ。

つまり、観察によって知り得た客観的な事実が
基になっているのだ。

情報は記憶として蓄えられ、
頭の中で論理的に分析される。

直感はその結果、生まれるものである。

情報が十分に多く蓄積され、
それが適切に分析されたとき、
直感が当たる可能性は高まる。

ただ、この直感の基になる情報は、
本人も気づかないうちに蓄積され、
分析されていることが多い。

無意識のうちに情報を取り入れ、
無意識のうちに分析しているわけだ。

直感は客観的な情報に基づくものである。

ただ、その情報の存在をはっきり認識できないだけだ。

それがわかると、
直感をあまり「神秘的」だとは感じなくなる。

◆ハザードは
「市場を動かす原動力となっているのは、
理性ではなく感情」だと言う。

だから、理性的な手段で相場の動きを完全に
予測することは不可能なのである。

では、どうすれば予測できるのか。

ハザードによれば、
直感が役に立つこともあるらしい。

彼は、
「自分の直感が信用できるものだとわかるまでには、
ずいぶんと長い時間がかかりましたよ」と言う。

◆確かな根拠はないが、
なんとなくそう感じる、
そうだと思う...

私たちはこれを「直感」と呼ぶ。

直感は誰にでもあるが、
それを信じる人もいれば、
信じない人もいる。

また、直感の通りのことがあとで
実際に起きる場合もあれば、
そうでない場合もある。

もし、先のことを正確に直感できる力があるなら、
その直感を信じ、
直感に従って行動すれば、
「運」を良くすることに大きな効果があるのは
間違いない。

そして「運が良い」といわれる人たちの多くは、
どうやらかなりの割合でそうした
「直感力」を持っているらしい。