◆ジェシー・リバモア 株取引の3つのルール〔3〕 感情の制御に関するルール ・株取引において、 感情を制御することは最も重要である。 ・期待、あるいは予想してはならない。 相場から糸口、シグナル、ヒントを待ち、 それを確認してから行動する。 確認した後にだけ行動することが重要で、 期待や予想は落とし穴と心得よ。 期待や予想をもとに行動を決するのは 自殺行為以外の何ものでもない。 相場は明日もある。 糸口の発現をじっと待つ辛抱強さがあれば、 どう動くかを決める時間も十分もてれるだろう。 ・株は人間と同じで、 それぞれが異なった「顔」をもっている。 活量の旺盛な株、慎重な株、激しやすい株、 神経質な株、直接的な株、動きな遅い株、古風な株、 未来志向の株、論理的な株、非論理的な株と、 千差万別の性格を持つ。 人を観察する要領で それぞれの銘柄に目を向けること。 それぞれの性格がのみ込めてくると、 どんな状況下にどんな動きを示すか、 予想がつくことになる。 ・ある銘柄がなぜ 特有の値動きをするようになったか、 その原因究明に多大な時間を振り向けても 意味はない。 そんな時間があったらむしろ、 事実そのものの検討に時間をかけること。 ・他人の忠告に耳を貸すと、 往々にして、自らの確信が揺らぎ、 自分の判断は間違っているかもしれないと迷い出す。 悪くすると、優柔不断に陥り、 誤った判断を下すようになる。 優柔不断は自信喪失を引き起こし、 投資資金の喪失につながる。 ・「ここだけの話」は、 親戚、恋人、友人、知人と、 あらゆる方向から入ってくる。 そうした場合、 情報の発信者も多大な投資をおこなっており、 他人にも利益を施したいと思っている。 もちろん宣伝屋、 犯罪者が発信元であるケースも存在する。 くれぐれも「危険でない情報は存在しない。 すべての情報を排除する」 ことを忘れてはならない。 ・取引にかかわる辞書から 「希望」という文字を排除せよ。 株取引が何かをもたらしてくれると 希望するのは「ギャンブル」以外の何ものでもない。 ある銘柄を売買するのに、 確固として理由が見当たらないという場合には、 より論理性のある銘柄を探した方がよい。 値上がりしてほしい、 あるいは値下がりしてほしいと希望を抱いたばかりに、 これまでどれほど多くの投資家が 姿を消していったかしれない。 希望はまた、つねに貪欲さと一体となって、 投資家の周囲を徘徊している。 ・気持ちの浮き沈みに振り回されない。 多大な儲けに酔い、 自分に自信をもち過ぎるのも問題であるが、 損失をこうむり、 意気消沈し過ぎるのも感心しない。 ・「株式市場はいつの世も変わらない」。 株式市場で変化するのは、 そこに出入りする顔ぶれだけである。 新規参入者は、 自分が参入する以前の相場を知らない。 新参者にとっては初めての出来事でも、 相場自体は周期的に動いている。 ・自分なりの取引手法に忠実に従うこと。 やり方をコロコロ変えてはいけない。 自分の性格に合った無理のない手法を考案し、 そのルールにしたがうこと。 ・株式投資は「安全重視」の預貯金とは違う。 投資家の目的は、長い期間をかけ、 手持ちの資金を安全・確実に増やすことではない。 相場の上昇局面、 あるいは下落局面に照準を合わせて投機を仕掛け、 利益を得ることが株式投資の目的である。 ・単独行動に徹し、 自分の資金の行方は自分で決めること。 また取引にかかわる行動は内密に、 口外しないことが極めて重要。 取引についての「勝利」 もしくは「敗北」を口外してはならない。 ・成功者と称賛される相場師も、 1年365日、相場を張っているわけではない。 すべてを現金化し、 マーケットを離れた方がよいと 判断される時期は少なくない。 市場に方向性が見えないと思ったら、 「待ち」を決め込むこと。 ・相場が思惑とは逆方向に動き出したとき、 冷静さを失ってはならない。 それと同時に、成功を手にしたときも、 利益を得るのはたやすいなどとうぬぼれてはならない。 ・すべての点で順調に推移するケースについては、 その状態を維持せよ。 ・優れた相場師、 投資家は少なくとも次の「四拍子」がそろっている。 ▶冷静な観察力: あるがままの事実を先入観なしに観察し、認める能力。 ▶明晰な記憶力: 重要なできごとを正確に、客観的に記憶する能力。 ▶優れた計数能力:数式計算、数学のセンス。 ▶独自の体験: 過去の体験をうまく 次の利益確保に生かしていける能力。 ・無意識の訴え、一見無意味な衝動も、 潜在意識からの働きかけ、 すなわち何年にもわたって蓄積された 経験や情報が発する声と見ることができる。 わたしは時に、 その時点で理由が明らかでない場合でも、 自分の無意識の声に従って取引をした。 アリストテレスの 「われわれは皆、過去の体験の集合体である」 という言葉を信じたからである。 ・株取引で成功したいと思うなら、 次のような感情を制御しなければならない。 ▶貪欲: 必要以上の、 あるいは正当と認められる以上のものを求める気持ち。 ▶恐怖: 人間に理性的でない行動をとらせ、 正常な判断力を失わせる感情。 ▶希望:つねに貪欲さと手を携えていて、 無知、恐怖などと同様、合理的思考を狂わせる。 ・無知を警戒せよ。 学習、研究をしっかりおこなうこと。 遊び半分ではなく、 本腰を入れて取り組まなければならない。 株取引には、楽に金が儲かるといった印象があり、 人を魅了するが、 愚かで安易な考えから相場に手を出せば、 簡単にすべてを失ってしまう。 無知の対極にある知識は、 大きな力となる。 ・相場を人間の手の内に入れることはできない。 市場参加者の大部分が負けるようになっている。 そのためここに示すルールはしばしば、 人の本性に反する内容となっている。 ・取引に休みなくかかわってはいけない。 生身の人間の精神状態を考えれば、 また経済的観点からも、 相場から離れるべき時期は少なからず存在する。 ・「買う」にしろ「売る」にしろ、 相場の動きが自分の思惑と一致しない場合、 最適な時期を待つべきである。 両者の不一致を知りながら、 自分の取引に合理的理由を 見つけようとするのは愚かである。 ・株式にかかわる「耳打ち」を 真に受けてはならない。 「強気相場では株価が上昇し、 弱気相場では株価が下落する」。 これこそが絶対の真理と肝に銘じるべきで、 耳打ちの相手に伝えるべき返答である。 ・過ちをおかしていると知りつつ、 誤った道を行くことは愚かである。 自らのルールを破った自分を 後になって悔やんでも遅い。 ルールは決して破るべからず。 ・下落に向かう銘柄をつかみ、 資金を投げやる「投資家」になるなかれ。 ・「強気」あるいは「弱気」 といった用語は回避すべきだ。 なぜならこうした言葉により、 相場の動きが気持ちのうえで 必要以上に長く固定化する結果となる。 相場の状況をどうしても 説明しなければならない立場に立たされたら、 「上向き」「下向き」といった表現を用いるとよい。 「最小抵抗ラインは現在、 上を向いている(あるいは下を向いている)」 といった具合だ。 ・投機ビジネスは一つの職業だ。 どの職業もそうであるように、 この分野で成功を得ようと思うなら、 勤勉に働き、努力を重ねる必要がある。