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マネーの公理〔6〕予測について【マックス・ギュンター】



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◆チューリッヒの公理は、
お金の世界を対象にしており、
人間模様についてのものである。

人間模様は、
どんな方法でも、
誰にも、絶対に予測できない。

お金の世界の預言者が陥る罠の一つは、
人間の行動を相手にしている
ということを忘れてしまうことだ。

彼らは、インフレ率やダウの上昇や下落について、
あたかも自然現象であるかのように話す。

賢者は、当然のことのように、
現象は予測の通り起こると幻想する。

しかし現実には、
すべてのお金の現象は人間の行動の発現である。

たとえインフレ率を予想するとしても、
あまりにも多くの変数が関与しているため、
信頼に足る予測などできはしない。

公理が説くように、
人々の行動は予測できない。

お金の世界の予測はすべて
人間の行動に関するものである以上、
真剣にとらえるべきではない。

予測を真剣に受け取ると、
あなたは、暗く、憂鬱な谷に陥ることになる。

とりわけ株式市場における予測は、
おそらく最も悲劇的な結末を
もたらすことになるだろう。

もし、投機がうまくいき、
計画していた手仕舞いの水準に
近づいているのであれば、
いいだろう、そのままでいい。

しかし、
すべての預言者が約束したにもかかわらず、
投機がうまくいっていないのであれば、
逃げ出すのだ。

◆人間の行動は予測できない。

誰であれ、未来がわかると言う人を、
たとえわずかでも信じてはいけない。

あなたは不思議に思うだろう。

経済を予言する者たちも、
われわれ以上に将来のことを知っているわけではない。

それなのに、
彼らの言うことに耳を傾けてしまうのはなぜだろう。

われわれは疑いもなく聞いてしまう。

なぜなら、
将来を知るということは、
常に人類が必死に求めてきた
ゴールの一つであるからだ。

もし、明日の株価を今日知ることができれば、
あなたは金持ちになれる。

だからわれわれは、
いつでも誰かが立ち上がって、
将来起こるであろう見通しを話すときには、
尊敬の念を持って耳を傾けるのだ。

しかし、
たいてい、聞くのは間違いだったということになる。

ニューヨーク・タイムズの推計によると、
高給取りの預言者の5分の3は、
将来の見通しをとんでもなく誤り、
三流の投機家がサイコロを転がして選択した
結果よりも少ない金額しか儲けられなかった。

実際には誰にも、
来年、来週、あるいは明日何が起こるか、
まったくわからないのである。

あなたが投機家として成功したいのであれば、
人の予想を聞く習慣から抜け出さねばならない。

エコノミストやマーケットアドバイザーなどの
金融の賢人が言うことを
決して真剣に受け取らないことが重要である。

もちろん、彼らが正しいこともあるが、
だからこそ危険なのだ。

彼らは何年にもわたり
予言ビジネスに携わってきたので、
たまにあたった2、3の予言を
自慢げに示すことができる。

「すごい!」と誰もが言う。

予言者の評判に決して表れないのは、
彼らが間違っていた残りの予言である。

将来を垣間見ようとする実りのない行為など
忘れてしまうべきだ。